それはもう昔のこと ページ2
宇宙海賊春雨には1人の地球人がいる。
「本当に抜けるつもりなのかい?A。」
『ああ、もちろんさ!』
「あーあ、Aのご飯が食べれないなんて嫌だなー。
…簡単に俺の側を離れられると思ってるの。」
『ああ、もちろんさ!』
「…ははっ、こんな小細工までするなんてさ。見つけたら必ず、殺しちゃうゾ。」
そう言って神威は、本人に似せて作られたそれを思い切り蹴飛ばした。
▽▲▽
吉原には、お母さんのような人がいる。
「きつねさん、きつねさん。あたし達を置いて行っちまうのかい?本当に行っちまうのかい?…もう、帰ってこないのかい?」
涙を流しながら縋るのは、吉原の太陽。彼女の涙を、彼以外見たことがあろうか。
『ごめんなあ、日輪。』
「…あんたはそんなに冷たい手じゃないだろう?」
『ごめんなあ、日輪。』
「さよならも言ってくれないなんて。きつねさん、あんたは本当に、女泣かせな男だよ。
前もこうやって、別れを告げずに出て行っちまったんだろ?
…せめて、あたしには言ってくれたって良かったじゃないか。」
そう言って日輪は、本人に似せて作られたそれを、彼を思い浮かべながら抱き締めた。
───────それはもう昔のこと。彼にとっては。
「Aさん、また遊びにいらしてね?待ってるわ。」
『分かっとるよ、お妙ちゃん!』
「本当?そう言って前も、1年以上いらしてくれなかったじゃない。」
『あは、堪忍なあ。』
「もう。許してあげますから、今度は今日の倍ドンペリ頼ませて貰いますからね!」
『…僕の懐は雪山より寒いわあ。』
「ふふっ、」
ほんま、女の人って怖いなあ。特に、水商売してはる人は。
はあ、今月分の家賃どないしよ。いくら僕が天才的な料理人言うたかて、給料は他のペーペーと変わらへん。はあ。また滞納してはる、って大家はんにどやされるわあ。夜逃げでもしたろか。
彼の座右の銘は、『僕さえ良ければそれで良し』。
『…団子でも買(こ)うて帰ろ。』
それもまた、ツケで。
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あきな(プロフ) - 面白いです!更新大変だと思いますが頑張って下さい!!応援してます!!! (2017年9月29日 21時) (レス) id: a03d3f2ed8 (このIDを非表示/違反報告)
空白 - 俺こうゆうの超好き!!!!!! (2016年6月18日 0時) (レス) id: 46538a2eea (このIDを非表示/違反報告)
夏凛 - めっちゃ面白いです! (2016年4月12日 1時) (レス) id: b1b68a76c0 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - え?終わり?そんなわけないですよね!更新頑張ってください! (2016年3月31日 15時) (レス) id: 131cdd29b3 (このIDを非表示/違反報告)
潮音(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください!応援してます! (2015年11月8日 19時) (レス) id: 05ac5cb1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とまと侍 | 作成日時:2015年10月21日 1時