四百二十通目 ページ21
熟考する間もないままに、幹部が訪れたという知らせ
学園長は驚愕しながらも、最終決断を下せないままでいる
指揮に関して造詣が深く、その道に明るいといえども、人命を左右する取り決めはそう簡単に行えないものである
何にせよ、幹部をそのまま外に放置するということもできない故に、何処か部屋へ連れるということが先決
「……来賓室に、お通しを──」
どの幹部が来たかは不明だが、自身が部屋へ訪れるまでの数刻で、決めよう
そう、学園長は動こうとしたのだが
「い、いえ……！もう、すぐそこに──」
入り口で息を切らす事務員の、言葉が千切れたように消える
何かと思って僅かに首を傾げたが、その疑問は一瞬で明解となった
「──待つ時間もないんよな、このままでええから話つけさせてもらおか」
悠々たる様で扉の向こうから現れたのは、我々国幹部──の姿
心做しか殺気立ったように思える彼
戦時下ならば、そう変なことではないのだけれども
こちらの身が竦んでしまいそうな感覚に、学園長は僅かに身じろいだ
「ッ……君」
困惑しながらも、未だ戸の前で棒立ちしていた事務員に、急くように声を投げる
「は、はい！」
「──○○号室の、ユウヤという生徒を連れてきたまえ。早急にだ」
「はい！」
「嗚呼、あとそれと、この部屋には誰も通さないように。力づくでも、入れさせるな」
「了解しました！」
全てを聞き入れると、事務員はまた、生徒寮の方へと駆け出した
──段々と、部屋の外が騒がしくなってきているように感じる
きっと、気のせいではないだろう
幹部が訪れたというのなら、その姿を一目見ようと集まってきてしまうはずだ
もはや避けられない
さらに今件はそれだけでなく、自分が戦場へ駆り出すよう命じられるのではと期待した輩が湧いて出るかもしれない
戦場はそう安易に足を踏み入れて良いものではないし、遊びに行くわけではないから、浮足立った生徒に頼ることは確実にないのだけれども
「──申し訳ありません幹部様。少々、決定に時間がかかりまして」
「構わんよ。その──ユウヤ？って生徒は、有力なん？」
「えぇ。幹部様の苦労を、徒爾には終わらせません」
その生徒は、幾らか押しが弱い部分もあるけれど
力はあるし、冷静に判断する思考も持っている
きっと、大丈夫だとは思うのだけれども
──否、考えるのはやめにしよう
今学園長自身にできるのは、祈るのみだ
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アンバ(プロフ) - (みたら士)神様､小説を創ってくれてありがとうございます｡ (2021年5月9日 1時) (
レス) id: 04b4947088 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 後輩くん…！個人的にはキャラ揃って大喜びしてます。最近更新多くて通知を見るたびに発叫してます。ですが、無理はなさらないように… (2021年5月9日 1時) (レス) id: 6bc5efe30d (このIDを非表示/違反報告)
シャノ(プロフ) - 最近更新増えて嬉しいです。 彼ですかね、、、！ 更新ありがとうございました！ (2021年5月8日 22時) (レス) id: f15c4b37e0 (このIDを非表示/違反報告)
Contrast(プロフ) - 本当にお話一つ一つが素敵で大好きです！無理のない更新で頑張って下さい！ (2021年5月8日 7時) (レス) id: 8384124a90 (このIDを非表示/違反報告)
アンバ(プロフ) - 本当に大好きすぎる…！読者をどれだけこの作品はびっくりさせてくれるんですか！更新ありがとうございます！！！ (2021年5月8日 4時) (レス) id: 04b4947088 (このIDを非表示/違反報告)
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