四百十九通目 ページ20
Aは知らぬ間に、自室に戻っていた
自身の意志による行動というより、無意識下のそれ
思わず寝台に深く腰掛けて──崩れるように座って、頭を抱えていた
ガヴィル戦は、かの災禍は、過ぎ去ったのではなかったのか
渦中に居たAだからこそわかる
──我々国に居なかった、Aだからこそわかる
再びこの国へ訪れた際の平穏は、まさしく戦後のそれであると
休戦にしては空気が張り詰めてもいない
であれば何だ
──再戦とでも言うのか？
第一戦のときは、一体どうやって終わったのだったか
和睦かなにかだったか
その状況を打ち破ることになるほどに、可及的な開戦だというのか、今回は
平穏で終わったはずなのに、その安寧をわざわざ崩すことになるほどのものなのか
──因縁、怨恨とでも言ったところか
否、なんだって構わない
始まってしまったものはもう、どうにだってできないのだから
今現在何よりも大事なのは、これよりの犠牲のこと
きっと先の戦いで、幹部も数名はいかれてしまった筈だ
であればその穴を抱えて、今の我々国が勝利できるものか？
もちろん、後釜があったかもしれない
それに残された幹部が弱いとも思わない
それだとしても
前回痛手を負わされたからこそ、今回も、という可能性があるのだ
──今、こんな田舎でぐすついている自身が情けない
できる事ならば、今直ぐ戦場へ駆け出したい
これから死する命を、減らすべく
この手で、采配を──
ふと、部屋の外が騒がしいことに、Aは気がついた
歓声と言うよりかは、ざわざわざわざわと、小声の応酬による騒がしさだ
何事かと思って、耳をすませれば──
「幹部様が来てるって話、本当か？」
「嗚呼、どうやらマジだって。車が来たのを見たやつが居る。馬車が来たってのを見たやつが、わんさか居る」
「じゃあ……やっぱ、この学院から──」
【戦場へ、指揮官が送り込まれるのか？】
その一言を聞くが早いか
Aは扉を開け放っていた
──懐に、無数の武器を隠し持って
後釜の、顔も名前も知らない幹部かもしれないけれど
Aはただ、無心で走っていた
学校長の元へと
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アンバ(プロフ) - (みたら士)神様､小説を創ってくれてありがとうございます｡ (2021年5月9日 1時) (
レス) id: 04b4947088 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 後輩くん…！個人的にはキャラ揃って大喜びしてます。最近更新多くて通知を見るたびに発叫してます。ですが、無理はなさらないように… (2021年5月9日 1時) (レス) id: 6bc5efe30d (このIDを非表示/違反報告)
シャノ(プロフ) - 最近更新増えて嬉しいです。 彼ですかね、、、！ 更新ありがとうございました！ (2021年5月8日 22時) (レス) id: f15c4b37e0 (このIDを非表示/違反報告)
Contrast(プロフ) - 本当にお話一つ一つが素敵で大好きです！無理のない更新で頑張って下さい！ (2021年5月8日 7時) (レス) id: 8384124a90 (このIDを非表示/違反報告)
アンバ(プロフ) - 本当に大好きすぎる…！読者をどれだけこの作品はびっくりさせてくれるんですか！更新ありがとうございます！！！ (2021年5月8日 4時) (レス) id: 04b4947088 (このIDを非表示/違反報告)
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