三百九十三通目 ページ44
「ッッッそろそろ、邪魔やっ！！」
兄さんの苦しげな声が聞こえた直後
Aの体は宙を飛んでいた
思考が停止する、理解ができない
しかし何かを考え治す時間も、受け身を取る時間すらなく
泥濘の中を鞠のように跳ねたAの体は
泥まみれになって醜く無様に、地面に転がるのだった
「ッッか、ハッ」
衝撃で声が漏れる
汚泥が落下の衝撃を吸収したといえど、息が詰まっていた感覚、蹴りの痛みが一瞬にして腹から全身をかけめぐったのだ
研ぎ澄まされた神経にぶつかる圧力は、並大抵のものではない
油断より来た痛みから、起き上がることができない
横になったまま腕に力を入れて、僅かに上体を持ち上げることには成功するが、また直ぐ泥の中に倒れ伏してしまった
体が衝撃に麻痺して、自由が聞かない
ぶるぶると震える手足
口の中に土の味が広がり、じゃりという不愉快な感触も襲う
僅かに狭窄する視界をめいいっぱい開き相手を警戒していれば、荷台から兄さんが降りてきているのが目に見えた
【治癒】の瓶を傾けている彼
透明な入れ物から赤の液体が流れ、嚥下したように彼の喉が動く
その直後、裂け目ができた掌は一瞬で繋がり、彼は血を払うように手を振り乾かしていた
「ッ、どう、じて……、いつ、から、起きてッ！」
「──暗殺すんなら、殺気は隠しや」
──飄々と、何時ものようにAにアドバイスを垂れる
あの一瞬でAの殺意を気取り、抵抗
そして反撃すら加えたというのか
末恐ろしい相手だ
──それでもAは未だ、立ち上がろうとしていた
幾度も起き上がろうとして、上体や腕や足に力を込める
鏢の刃先を地面に指して力をこめ、それを支点にしようとしたけれども、あいにくの泥濘でうまく行かなくて
また醜く無様に、泥の中に埋まるだけだった
髪も寝間着も顔も、茶色の泥で濡れていて
何も女らしくもない、しかも必死そうに歪められた顔で
それでもなお、瞳は紅く燃え染まり、兄さんを睨み続けているのだ
「……犯行動機は？」
「──ッ、おまえ、は……」
──自首、というものではない
ただこれだけは、許せないから
それを明言しようと、Aの口は動くのだった
「われ、わ……れこく、の、しょうにん、などと……ッ、う、そを、ついて！」
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萌木 - もしかしたら意図的で、この先の話を読んでいないのでそんなに偉そうに言えないですし、このコメントが届いているのかもわからないですけど、 三百七十六通目の最後、兄さんはヴィルヘルミナの名前しか知らない筈です。 ご確認お願い致します。 長文失礼致しました (2022年7月8日 17時) (
レス) @page27 id: 7b477ee6df (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 心の中で盛り上がってまいりましたと踊っています。主人公がうっに再会できること心より楽しみにしております。 (2020年1月22日 23時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
歌い手総推し！&外資系と書記長寄りの箱推し！ - とうとう運命の瞬間が…！niさんと夢主ちゃんはどのような反応をするのか…楽しみに待っています！ (2020年1月22日 13時) (レス) id: 6e4f801f19 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 茶葉さん» （コメントの検索避けありがとうございます）二人の関係がどう動くのか……夢主の運命は……どうぞ楽しみにお待ちください (2020年1月21日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - しゅがーさん» そろそろ�修砲眛�りますし、物語は展開を続け……この質問が一体どうなってしまうのか、ご期待しつつお待ちくださいな (2020年1月21日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
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