三百九十二通目 ページ43
鏢の切っ先が彼の喉を穿つかと思われた──刹那
首を動かした兄さんが、横たわったまますんでの所で回避する
彼の首側面から血が滴るのを見ながらAは鏢を引き寄せた
──いつの間に目を覚ましていたのか
不都合であることに変わりはない
気取られたのかは知らないが、ここで終わらせてしまえばと
Aは瞬時に思考すると、未だ横になったままの彼の腹の上に座ると、懐から取り出したナイフを両手で支え、振りかぶる
確実に喉元を狙って、それを勢いよく降ろすが
その刃を、また両手で鷲掴んだ兄さんにより、短刀は微動だにしなくなった
男との力量差か、これだから正面衝突は避けたかったというのに
鋭利な刃を掴む彼の腕が刳れる音、水音
彼自身から流れた鮮血が、彼の顔を汚す
「ッッッどういつっ、ことやっ！！ッオイ！！」
拮抗しながら、兄さんが吐き捨てるように叫んだ
大気が震えるほどの怒声
しかしAは怯むことなく、体重とともに力を両手へとかけつづけ、彼の首を狙う
押し倒される彼の喉元に、ナイフを突きつける
力を僅かにでも抜けば押し返され、形勢逆転は否めないであろう
勝てる気はしなくとも、彼の腕を抉ったナイフが血で滑り彼の首を裂くまで、力を抜くことはやめない
驚愕し憤慨した様子の彼の瞳を、Aは冷たい瞳で睨みつけ返した
──その双眸は、何処か紅に見える
そうしてAは脅すような声音で、一言一句明確に告げる
「貴様、何者だ。我々国の名を冠して……一体何を企んでいる」
様変わりしたAの纏う気迫
いつもながらの穏やかで温厚な風貌は何処へやら、満ち満ちる殺気で息が詰まりそうだ
急所か瞳かしか捉えないその目は冷酷で、体の奥底に在る畏怖の念を沸き上がらせてくる
致命傷ではいけない
致命傷では、【治癒】を使われてしまうだから
きっと彼ならば怪我をした一瞬で、その考えに至るだろう
今は思いついていなくとも、きっとそうなる
だから、即死でなければならない
考える隙すら与えず、殺す
兄さんは、Aのおどろおどろしい容貌に、冷や汗を流しながらも
不敵な笑みを、浮かべるのであった
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萌木 - もしかしたら意図的で、この先の話を読んでいないのでそんなに偉そうに言えないですし、このコメントが届いているのかもわからないですけど、 三百七十六通目の最後、兄さんはヴィルヘルミナの名前しか知らない筈です。 ご確認お願い致します。 長文失礼致しました (2022年7月8日 17時) (
レス) @page27 id: 7b477ee6df (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 心の中で盛り上がってまいりましたと踊っています。主人公がうっに再会できること心より楽しみにしております。 (2020年1月22日 23時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
歌い手総推し！&外資系と書記長寄りの箱推し！ - とうとう運命の瞬間が…！niさんと夢主ちゃんはどのような反応をするのか…楽しみに待っています！ (2020年1月22日 13時) (レス) id: 6e4f801f19 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 茶葉さん» （コメントの検索避けありがとうございます）二人の関係がどう動くのか……夢主の運命は……どうぞ楽しみにお待ちください (2020年1月21日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - しゅがーさん» そろそろ�修砲眛�りますし、物語は展開を続け……この質問が一体どうなってしまうのか、ご期待しつつお待ちくださいな (2020年1月21日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
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