三百三十六通目 ページ37
戦闘開始から今の今まで、何も、何も理解できていない
後方に吹き飛んだまま起き上がらないヴィルを見つつにそう思った
まず最初からわからない
くられ先生が合図を出した直後、瞬きの後にはもう、ヴィルが目の前に居た
数秒にも満たないことを把握できるわけもなく
振り降ろされる刀を防ぐべく、自身の木刀を横にして対抗した
ギリギリミシミシと、枯木が軋むような音がしたのをはっきり覚えている
力を抜けば切り込まれてしまう、その一心だった
その掛け合いの様はまるで、幹部時代の同胞を相手取っているかのような──
そう思うがはやいか、いつの間にかヴィルは体制を変化させていた
蹴り上げられた右足
とっさに後方へ飛び、着地した反動で再び駆け込む
すると始まるのは、切って切られての攻防戦
余談を許さぬいなしあいに、木刀を持つ手には汗が握っていた
ひときわ強い衝撃が襲う
その瞬間を見計らって、ヴィルの攻撃を横にそらした
しかしそれすらまるで読み込まれていたかのように、後ろに振られたヴィルの足が眼前に迫っていて
それを避け切ることはできず、顎にかすったと共に舌を僅かに噛んでしまい、口からは血がこぼれ落ちる
久々に、かなり腹がたった
再び剣戟を行おうと体制を整え、彼女に切りかかる
──だがまた瞬いた後に目の前に迫っていたのは、小型ナイフの切っ先だった
右足に不可解な感覚
僅かにそちらを見れば、自身の足には紐が絡みついていた
眼前に迫ったナイフに仰け反り、その直後自身の軸足だった右足を引かれる
その引力の先で縄を操っていたのは、他でもないヴィル
知らずのうちに鏢の扱いに慣れていたのか──？
しかしその自問自答すら許されない
バランスが崩れていく衝撃に顔を歪めれば、すぐさまヴィル本体が近づいていて
「ッ、はや」
思わず呟けば、ヴィルの雄叫びと共に彼女の蹴りが迫る
完全に防ぐのは間に合わない
故に咄嗟に左腕を下げ、横腹を抑えた
自身の体が転がる感覚
──やはり理解できない
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みたら士(プロフ) - 名無しの××さん» ありがとうございます……適度に休憩しつつ更新させていただきます、お待ちください！ (2020年1月3日 23時) (
レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの×× - この小説が大好きです。大変だとは思いますが更新頑張ってください。応援しております。 (2019年12月29日 15時) (レス) id: f98b79cb93 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 妖那。さん» ついにですね……でももう少しで�柴�りそうになっちゃいました。ご心配ありがとうございます、ゆるりと更新していこうと思います (2019年12月22日 21時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - ブンブンさん» 満を持して登場です、続編来ちゃいました (2019年12月22日 21時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
妖那。(プロフ) - ついにVIIですね…!体調を崩さない程度に更新頑張って下さい！ (2019年12月20日 22時) (レス) id: 4a3820ee7b (このIDを非表示/違反報告)
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