三百三十通目 ページ31
「ッ……は？」
自分の手に収まるものを見て、Aは一瞬理解が及ばなかった
今自身が持っているものは、一体何なのだろうか？
赤色のこれは？
──缶なのか？
柔く握ってみると、アルミ特有の耳に痛いような音がする
ナイフは抜けない
かなりしっかりと刺さっておるようで、柄まで通ってしまっている
──つまり、これは？
功績を上げた、ということか？
苦労の果てにようやっと
缶を穿つことが、できたと？
「ッッッよっっっしゃぁぁ！！」
広大な土地に、Aの太い声が響く
あまりにも絶大な達成感による、その歓喜の声
幼子のようにはしゃぎながら、Aは野を駆け回った
「さて、と……とりあえず薬品関係からだねぇ」
「今回はどれ運べばええん？」
くられ住居の地下、実験室にて
二人は物品の確認を行っていた
重労働になることを予測して、腕まくりをした格好の二人
「まずは──そういえば、ヴィルは？」
ふとくられが、思い出したように兄さんの顔を伺った
今日は少し重要で、秘密裏な仕事をしなければと説明すると、彼女は「じゃあ家は空けておく」と出かけていったのだ
麓の村に一人で行くことはないだろうし
「ん？嗚呼、一人で特訓しとる」
「そうなんだ。目標は？」
「鏢投げて缶貫けっていう、前に言っといたやつ」
「へぇ……兄さんもいじわるだよねぇ」
そんなものは、不可能に近いというのに
──鏢といえど、ただのナイフに過ぎないのだ
缶を片手にナイフを振りかぶって突き刺したとして、一発で穴をあけることは難しい
それを、穴を空けるだけではなく貫けというのだ
しかも、威力が鎮火されやすい、遠距離から
凹ませるのが良いところ
穿つだなどということ、よほどの怪力や威力調整ができなければ、不可能である
「んでもまぁ大きな目標があれば人って頑張れるって言うやろ？」
「そうだけどねぇ」
そう思えば確かに、壮大な目安だろう
目標【缶を貫く】だなんて──
Aの本目標
【指揮官に返り咲く】
そうとも知らずに大人陣は
朗らかに話しながら、仕事の手をすすめるのだった
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みたら士(プロフ) - 名無しの××さん» ありがとうございます……適度に休憩しつつ更新させていただきます、お待ちください！ (2020年1月3日 23時) (
レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの×× - この小説が大好きです。大変だとは思いますが更新頑張ってください。応援しております。 (2019年12月29日 15時) (レス) id: f98b79cb93 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 妖那。さん» ついにですね……でももう少しで�柴�りそうになっちゃいました。ご心配ありがとうございます、ゆるりと更新していこうと思います (2019年12月22日 21時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - ブンブンさん» 満を持して登場です、続編来ちゃいました (2019年12月22日 21時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
妖那。(プロフ) - ついにVIIですね…!体調を崩さない程度に更新頑張って下さい！ (2019年12月20日 22時) (レス) id: 4a3820ee7b (このIDを非表示/違反報告)
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