二百八十四通目 ページ35
体から離れる、温い感触
痛かったら教えてね、といいながら、くられ先生は足の包帯に手をかける
緩り緩りと剥がされるそれ
その下から覗いた、多量の切り傷
きっと、森の中を走っていたときに、木や葉で切ってしまったのだろう
あとは川の中の岩にぶつけたか
「でも、治りそうですね、これ」
「そうだね。こういう細かいのは、無茶しなければ自然に消えていくものだよ」
無茶しなければ、と復唱される
──くられ先生には、自身のことをこう説明した
【とある国で大雨に巻き込まれ、流されてしまった】と
あり得ない話ではない──それどころか、年に何件か起こってしまうのだ、このような話は
未だボーダーレスとは言えない現代社会
国境を超えるのが難しい国もあるのだから、川を流れて辺境へたどり着いてしまえば、元いた場所に帰るのは難しいことだ
──その問題をどうにかするのも、Aの仕事だったのだが
いや、もうどうにもならない
ここはマチルダ国
我々国の領土にもう一度踏み入るためには、ガヴィルの門をくぐって行かなければいけない
それだけでなく、厳重な我々国の国境警備だって通らなければ
もしそれを行いたくないのならば──国境警備に関しては越えなければいけない壁だが──
ガヴィルを迂回するように動き、遠回りをしなければいけない
ガヴィルを通れば、一ヶ月の道
しかし遠回りをすれば半年はかかる
検問の数も増えるからだ
──そうなればもう、元の国に帰るのは絶望的
諦める他、選択肢はないのである
そんなことを考えている間にも、いつの間にかくられ先生は、左腕の包帯を剥がし終えていて
なるほど、これはためらうこと頷けるものである
普通の女の子であれば、こんな無数の打撲痕見たくはないだろう
青や紫に変色してしまった、痛々しいあと
でもこんなものも
「治りますね、これも」
「……そうだねぇ、所詮は打撲だから」
そういうくられ先生の──どことなく、低い声音
疑問に思ってそちらを向けると、彼の手にあったのは、手鏡だった
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bh(プロフ) - 更新ありがとうございます...！続きとても楽しみにしてました。いよいよ主人公が仲間の一部と接触してとてもハラハラする展開で、もう続きが気になります....！とても面白い作品を書いてくださりありがとうございます。これからも末永く応援しております。 (2021年5月9日 14時) (
レス) id: 5ca24da818 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - FUJIさん» コメントありがとうございます……長い期間読んでいてくださったんですね、感謝しかありません。最近はかなり順調に更新できていますので、どうぞお楽しみください (2019年12月24日 19時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
FUJI(プロフ) - 初めまして！最初からずっとコメントしたくて勇気が出なかったのですが、ﾊﾗﾊﾗの展開で毎日通知を開いてしまうほど好きです(土下座)これからも更新楽しみにしております！ (2019年12月16日 22時) (レス) id: eb5fc7d995 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 茶葉さん» その長年と比べてまで褒めてくださり……ありがとうございます！適度に待ち時間というわくわくを提供しつつ、更新頑張ります…… (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 歌い手総推し！&外資系と書記長寄りの箱推し！さん» 明日と言わず、明後日明々後日も頑張っちゃってください( 'ω' )/ (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
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