百九十七通目 ページ48
「ッA！」
シャオロンが二階へ上がるや否や、かけよってくる無数の人間
それは彼の勇姿にみとれた、野次馬の輩ではなかった
至極全うで真摯な思いを持った、Aのクラスメイト達
──それを引き連れる、リイカの姿
「……なんや、道あけろや」
彼女の先導により動いたクラスメイト達は、シャオロンの行く手を塞ぐように並ぶ
俵担ぎにされたAにその様子は見られないが、シャオロンが怒っていること
そして自身の友人が本気なことも、なんとなく理解できた
「シャオロン様、Aは……」
「あんたらご執心の幹部サマや。王子様がどうとか言われとったけどな」
「ッ、そうで……すか」
「わかったらそこ退けや。こいつが怪我しとんの、見てわかるやろ」
──生徒たちから見てすれば、シャオロンは異常だった
嫌、こちらが正しいのかもしれないけれども
いままで気さくに話しかけてくれていた彼の姿は何処にもなく
ただ苛立ちを募らせるだけの男がそこには居た
脅すように言う彼の気迫に気圧されて、生徒達は端へとどいてゆく
しかし
「ッシャオちゃん、やめて」
「な、でも」
「やめろッ！」
珍しく、シャオロンに咆哮するA
顔を見ずともわかるその様相に驚愕しながらも「降ろして」というAの声に従って、シャオロンは肩から彼女の身を降ろした
「……別に、怒らんでもええやん？」
「はいはい、いじけなら後でたっぷり聞くから」
嫌々と拗ねる彼をいなしながら、Aは自身の友人──リイカにその身を向けた
すると目に入るのは、やけに落ち着いた友の姿で
「ごめんね、リイカ」
「ッなんでAが、そんなに傷つかなきゃいけないの……？」
「それは……」
我が親愛なる総統閣下のため
仲間の幹部のため
国民の安寧のため
そしてなにより
──リイカ、あなたのためだよ
そう、言えたら楽なのだけれども
「そのうち、わかるんじゃないかな」
彼女の重荷にはなりたくないと、本能がひしひしと告げていた
きっとシャオロンには嘘がバレている
それでも取り繕くろうように、Aはシャオロンの手を引いた
「いこ、シャオちゃん」
「んぅぅ、納得しないけどまぁいーや」
A、Aと四方八方から静止の声がかかる
しかし彼女はもう周りに目もくれず、ただ離れようと歩いた
彼女が閉めた扉の、その隙間で
微かな笑みを浮かべたAが、有終の美を飾った
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檸檬 - めちゃくちゃ面白いじゃないですか。返してください、私の腹筋（）。番外編で夜中なのに「ゲルテェェェェェェェ！（感涙）」って叫んじゃいました。 (2021年5月23日 1時) (
レス) id: 1448aeacc9 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 最近更新が多くて嬉しいです。ありがとうございます。これからも応援しております。 (2019年10月14日 1時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ホタテおいしぃ - 熱い展開になってきましたね！ (2019年10月5日 11時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
nia(プロフ) - 更新待ってました！！！ (2019年9月29日 21時) (レス) id: dcff59daa3 (このIDを非表示/違反報告)
るるりぃ - ココラさんと同じく何故か胸が苦しくて・・医務室から逃げる場面から涙が出ました。更新頑張ってくださいね！みたら士さん！ (2019年8月28日 23時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
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