百七十四通目 ページ25
「……追いかけます？」
「いんや、俺達の役目ここまでやし。ぼちぼち合流すりゃええんとちゃう？」
「そスか」
俯いたままの我が先輩の背を見ながら、ショッピは愛するショートピースに火をつけて加えた
自身が実弾をうちはなった相手──ショッピの初めての後輩は、負傷した右手を庇いながら、持ち前の瞬発力で姿をけした
しかし、どれだけ速度に優れていようとも、出血を抑えられるわけではないのである
彼女が歩いた道筋を示すように点々と、血が地面に垂れている
黒く変色し始めたそれを追っていけば、Aの居場所へたどり着くだろう
それでもショッピの先輩──コネシマは、それを行わないという
それだけではなく、ショッピにはもう一つ疑問があった
「……なんで、憎まれ役勝手でたんすか」
煙を吐きながら、未だ姿勢を変えないコネシマを見やる
【憎まれ役】
そうショッピが形容するのは、Aに致命傷──とまでは行かずとも、無理を行えば死すら見える傷を作ることだった
そんな役割がある理由は、まだ新参者のショッピにはわからない
説明されているのは、自国総統のグルッペンや書記長のトントン、外交官のオスマンぐらいだろう
コネシマは、きっと知らない
しかし何かを察している風に、自分がAに剣先を向けると名乗りを上げたのだ
それが、ショッピには理解できなかった
「──俺しかおらんやろ、適役」
「は？」
「あんなん絶対、今後一生恨まれるかもしれへんやろ。死にかけるんやから」
「そんなら、傷つく心が無い俺がやる他、無いやろ？な？ショッピ君」
同意を求めるように、ようやっとコネシマは振り向いた
ショッピにいつもと変わらない視線を向ける、彼の姿
その瞳は、後悔をしているようには見られなかった
これだ
「それにな、俺だって女相手に本気なんて出せへんわ……浅く広く。計画実行できるぐらいの傷作ればええやん？」
この姿
ショッピは、彼のこの、心配になるほどの心の強さを
気味が悪いぐらいの笑顔を
「……知りませんよ糞先輩。傷つきたくなかったら今殺したげましょか？実弾持ってますし」
「なんでそうなるん？！」
眩しい程、尊敬しているんだ
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檸檬 - めちゃくちゃ面白いじゃないですか。返してください、私の腹筋（）。番外編で夜中なのに「ゲルテェェェェェェェ！（感涙）」って叫んじゃいました。 (2021年5月23日 1時) (
レス) id: 1448aeacc9 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 最近更新が多くて嬉しいです。ありがとうございます。これからも応援しております。 (2019年10月14日 1時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ホタテおいしぃ - 熱い展開になってきましたね！ (2019年10月5日 11時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
nia(プロフ) - 更新待ってました！！！ (2019年9月29日 21時) (レス) id: dcff59daa3 (このIDを非表示/違反報告)
るるりぃ - ココラさんと同じく何故か胸が苦しくて・・医務室から逃げる場面から涙が出ました。更新頑張ってくださいね！みたら士さん！ (2019年8月28日 23時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
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