百六十九通目 ページ20
かける私の頭上をすれすれで横切る鉄具
微かに血の匂い香るそれは、完全に私の頭蓋を殴打するつもりで放たれているようで
はじめの一歩を踏み出した足を、さらに速度をまして動かした
「逃げんなァァァァｯ」
咆哮
いつも穏やかに私へすり寄るから彼からは想定できないようなそれは、私の鼓膜を震わせる
後方で幾度も鳴る金属音は、シャオちゃんが近づいてきている合図
瞬間、拭えない恐怖に苛まれ、思考が急激に加速した
どうやらこれは、ただの追いかけっ子ではないらしい
確実に私の急所を狙いに来ている一撃は、当たれば失神
──いや、死すら免れないかもしれない
一体どうして、どういう理由で
私の命を狩るが如く、皆は動いているのだろうか
ペ神様が言うとおりに、私は彼らを甘く見ていた
私が逃げ皆が追う鬼ごっこ
そんな生ぬるい、優しいものではない
理由は不明でも彼等は、本気で私を捉えるつもりでいるようだ
──【私は、死ぬわけにはいかない】
さらに足を踏み込み、一歩の幅を広めた
息を吐く頻度が増え、自身の体力不足を痛感させてくる
「っっっっ、おいっっ！」
遠のくシャオちゃんの声
それに応じて振り向くことなく、私はただ駆けた
──訓練場へついた頃
追う足音は消え、私はゆっくりと立ち止まる
息は切れていたが、まだ走れるだろう
振り返れば、そこには誰もおらず
冷たい風がただ吹いていた
──しかしどうにも静かすぎる
一体、何が──
いや、もう考えても無駄かもしれない
思わず大きく嘆息した
──そのとき
背面に充てがわれた殺気
音もなく近づいたそれに目を見開いて振り向けば、いつのまにかコネシマさんが片手剣を振りかざしていた
百七十通目→←誇り高きイストワール 【番外編 百六十八通目】
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檸檬 - めちゃくちゃ面白いじゃないですか。返してください、私の腹筋（）。番外編で夜中なのに「ゲルテェェェェェェェ！（感涙）」って叫んじゃいました。 (2021年5月23日 1時) (
レス) id: 1448aeacc9 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 最近更新が多くて嬉しいです。ありがとうございます。これからも応援しております。 (2019年10月14日 1時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ホタテおいしぃ - 熱い展開になってきましたね！ (2019年10月5日 11時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
nia(プロフ) - 更新待ってました！！！ (2019年9月29日 21時) (レス) id: dcff59daa3 (このIDを非表示/違反報告)
るるりぃ - ココラさんと同じく何故か胸が苦しくて・・医務室から逃げる場面から涙が出ました。更新頑張ってくださいね！みたら士さん！ (2019年8月28日 23時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
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