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『げほこほけほっ、こほっ、』
上手く力の入らない手で吸入器を持ち、何とか薬を吸い込む。
仲野先生が、素早く点滴をしてくれた。
仲野「うわお前この熱でよくやってたな。」
そう言いながら見せてきた体温計を覗き込めば、
そこには39.2の文字。
苦笑いしながら、冷えピタの準備をしてくれる。
『気づかなかった、げほげほ、』
仲野「俺も気づかなかった。」
仲野「すっかり役者の顔してたからな。」
緊急時に備えて、映画撮影に付き添ってくれた仲野先生。
小さい頃から自分を知ってくれている人に自分の演技を見られるのは、
とっても恥ずかしかった。
その一方で、
何かあった時に助けてくれる人がいるという事実に安心感もあった。
仲野「明日のスケジュールは?」
『ん…、ふりいれ、』
仲野「まさかこの熱で行くとは言わないでしょ?」
『さすがにね。…動画だけ送って貰う。』
仲野「ん。そうしな。酸素マスクつけるよ。」
いくつかの機械に繋がれながら、そっと目を閉じる。
仲野先生が、再び口を開いた。
仲野「お前さ、そろそろメンバーには話しなよ?」
ゆっくりと、閉じていた目を開く。
仲野「俺だっていつでも付き添えるわけじゃないし、」
仲野「今後のこともちゃんと話し合わなきゃ。」
心電図のモニターだけが、規則正しい音を響かせた。
『…分かってるよ、』
でもね、不安なの。
話すことで、何かが変わってしまうのがこわい。
なんだか疲れがどっと押し寄せてきて、再び目を閉じる。
なんだかくらくらしてきて、そのまま意識を手放した。
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せな(プロフ) - まいさん» コメントありがとうございます!ご心配おかけしてしまいすみません…!!無事に完結できるよう頑張りますね〜!!温かいお言葉ありがとうございます!! (2022年3月4日 15時) (レス) id: b638a60bdd (このIDを非表示/違反報告)
まい - こんばんは!前回コメントさせていただいたものです。最近小説をちょこちょこ見に来てるのですが、更新されてないようで心配してます(焦)。是非最後まで、完結まで見届けたいと言う気持ちがあるので続き待ってます!!でも無理なさらず!お待ちしてます。 (2022年3月3日 23時) (レス) @page48 id: 8f49d2e699 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - 莉咲さん» コメントありがとうございます!!マイブームだなんて嬉しすぎます〜!温かいお言葉ありがとうございます。 (2021年12月25日 10時) (レス) id: b638a60bdd (このIDを非表示/違反報告)
莉咲(プロフ) - こんばんは、初めてコメントさせて頂きます。夜寝る前にこのお話を読むのが最近のマイブームになっています。次の更新も楽しみにしています。頑張ってください! (2021年12月23日 23時) (レス) @page36 id: 831d42e079 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - まいさん» コメントありがとうございます。読んで頂けて嬉しいです!温かいお言葉とても励みになります〜!ありがとうございます!! (2021年12月13日 11時) (レス) id: b638a60bdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せな | 作成日時:2021年11月21日 15時