ぽーちゅらか

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目が覚めたのは、朝の4時だった。






トイレに行きたくなって、重い体をゆっくりと起こす。







咳をいくつかこぼしながら、繋がれた機械の電源を切った。




点滴棒につかまりながら、よたよたと廊下を歩く。








トイレを済ませたのですぐ帰ろうとしたけれど、
急に咳が酷くなってきて近くの椅子に腰かけた。

酸素マスクを外したからだろうか、息が苦しい。



冷え込んだ空気に、思わずスウェットの袖を伸ばした。




…いったい、なにが正解なんだろう。








これからもアイドルで居続けること？





まずは治療に専念して、回復してからまた頑張ること？

それとも、もうアイドルなんてきっぱり諦めること？


初めは、自分の体なんて二の次で、
ただひたすらにアイドルであり続けることを望んだ。


だって、まだ誰にも恩返しできていないから。


応援してくれるファンの子たちにも、
同じ道を同じ歩幅で歩き続けてくれるメンバーにも。







このまま辞めるのは無責任だって、ずっと思ってた。





でも。







私が活動を続けることで、
逆にみんなに迷惑をかけていることに気づいたの。






なかなか進まない振り入れ、中止しがちな撮影。




メンバーからの気遣いに、とても心が痛くなる。









感謝の気持ちよりも、
申し訳ない気持ちの方が勝ってしまうの。






彼らの邪魔になるくらいなら、
もうこのままやめた方がいいのかもしれない。








だって、
続けたところでちゃんと恩返しができるとは限らないでしょう？









でも、だとしたら。




『…いきるいみが、』









『……なくなっちゃう、』








いったい私は、なんのために生きているのだろう。








やっぱり、涼介と仲直りなんてするんじゃなかった。








誰の悲しい顔も見たくない。

それに。





もっと別れが辛くなっちゃう。





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