ぽーちゅらか

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nkn.





鈴木「どうですか。…Aの体は。」









病院内に設けられた面談室。







先程自販機で購入したコーラのペットボトルを不必要に触りながら、
Aのマネージャーである鈴木さんが恐る恐るそう尋ねてきた。









仲野「はっきり言って、厳しい状態です。」

仲野「なんせ根本的な治療法は移植しか無いんでね。」

冷たくそう言い放った俺に、
鈴木さんはわかりやすくうなだれる。




鈴木「…そうですか。」









それっきり口を開かなくなった彼を目の前に、
どうしたらいいか分からなくなって俺も無言を貫いた。



他の患者さんの御家族との面談でも、
こういったことはよくある。

だがしかし、
鈴木さんとの面談に至っては、それらとはまた違った。






Aは、俺がいちばん長く担当している患者。



患者さんに優劣なんてつけちゃいけないけど、
俺が担当してきた中で間違いなくいちばん大切な存在。

どうしても、なんとしてでも助けてやりたい存在。









他の患者さんの御家族が相手だったら、
こんな時俺はきっと何か慰めの言葉をかけるだろう。






しかしAの事になると、
そんなその場しのぎの慰めの言葉さえも出てこなかった。





俺ができることはなんなのか、
どうすれば彼女の笑顔を守ることが出来るのか。








何度も自分自身にそれらを問いかけるが、
どう考えあぐねても全くいい手だては浮かんでこない。





ポジティブな感情を素直に全力で表現してくれて、
ほんの小さなことにでも喜んで、幸せそうにありがとうを言う。








時には厳しい言葉もしっかり言うけれど、
それ以上に人の長所を見つけてそれを言葉で伝えるのが上手で。


困っている人を見ると放っておけない癖に、
自分が苦しい時は決して弱音を吐かない。








誰にでも愛される、素敵な魅力しかないA。








そんな彼女の、何がいけなかったというのだろう。


彼女がいま病に侵されているのは、
一体何に対しての罰なのだろうか。





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