シスコンな兄とツンデレな妹とその仲間達part3【浦島坂田船】

82 ページ5

うらたぬきside

クスッと隣で笑う声が聞こえて、その声の主を見れば

スマホを見ながら嬉しそうに笑っていて

坂田たちにすらしてないような笑顔に驚きで体が固まる。


(…こんな顔するんだな)


俺を推してるらしく、好きらしいが

毎度の如くAちゃんは緊張しまくっていて、まともに会話したことはない。

今日とか、前の居酒屋の時とかは、少し話せたけれど。


俺はほんとに彼女について何も知らなくて

なんだか俺と彼女の間には壁がある気がして、少し寂しい。


(もっと近づきたいと思ってるのは、俺だけなのかな)


そのときふと右肩が重くなった。

何かと思って右を見れば、

『ｽｰ…』

静かに寝息を立てるAちゃんが俺にもたれ掛かっていた。

う｢！｣

一瞬焦って坂田を見るも、こちらも寝ていて

その途端に冷静になって、呆れた。


(全く…口開けて寝んなよ)

静かに座り直して、隣の寝顔を盗み見る。

(…少しは、慣れてくれたと思っていいかな)


前なら絶対にくっつかなかったし

ここでもたれるようなことはなかっただろう。

それなのに、この状況。


少しは仲良くなったと期待していいかな。

83→←81

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す