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結局夕飯は、昨日作ってあった里芋の煮物と、焼き鮭、それからお豆腐とわかめのお味噌汁にした。
ごはんが炊き上がったのを確認して、ちらりとリビングに目をやる。
安田さんは、ソファに体育座りし、クッションを両手で握りしめていた。
多くは語らない。可愛い。
お茶碗にごはんやお味噌汁をよそっていると、ぴょんこぴょんこと跳ねるように安田さんが来た。
「あ、安田さん。どうかしましたか」
「わー、おいしそう! あかんめっちゃお腹減ってきたわあ…………これもう運んでもええ?」
おかずを載せたお皿を手に取る安田さん。
「あ、そんなんわたしやりますから安田さん座っててください」
「え? なんで?」と、心底きょとんとしたような顔をする安田さん。
そのまま、お皿を運んでくれた。
優しいし気のつくひとやなあ……。
「あーめっちゃええ匂いやわあ」
テーブルに並んだ料理を見て、安田さんはにこにこと笑う。
「いただきまーす」と手を合わせ、料理に手を伸ばす。咀嚼した安田さんがぱっと明るい顔をこちらに向けた。
「おいしい! 桜木さん、めっちゃおいしい!」
「ほんまですか? ならよかったです」
わたしもいただきます、と手を合わせ、煮物に手を伸ばす。うん、おいしい。わたしは昔からお芋系が大好物だ。
何度もおいしい、と言いながら、安田さんは食卓に並んだ料理を完食してくれた。
「おいしかったあ! 久しぶりに誰かの手料理食べたわあ…………ごちそうさまでした!」
「お口に合ったらよかったんですけど…………お粗末さまでした」
その後、いいですと言ってるにも関わらず、結局安田さんに押し切られ、洗い物をおまかせしてしまった。
食べさせてもらったから、らしい。律儀なひとだ。
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なのはなさいた(プロフ) - 更新ありがとうございます!続きが楽しみです!応援してます! (2019年3月27日 3時) (レス) id: 9a9c48371e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:uu | 作成日時:2019年3月7日 0時