初めまして、命の恩人です。【東卍】

26. ページ26

『…うん、日常生活を送れるくらいには完治したね。退院おめでとう場地くん』

「おう、世話になったな」

あれから早一週間。

場地くんは今夜の集会に顔を出すそう。


「あそこで死んでたとしても後悔はなかった。

……けど、心残りはあった」

きっと、母親のことだろう。

「A。改めてお前に感謝する」

真剣な顔をする場地くん。


『…なんだ、ちゃんと言葉にできるじゃん』

「？」

『人一倍仲間を信頼してるくせに、肝心なことは言ってくれない。一人でどうにかしようとする。

…昔、私の知り合いにも似たような人がいた。


場地くん頭良くないんだから、次からは一人で背負い込まないで誰かに相談しなね？』

千冬くんでも、一虎でも、……私でも。


「なんかお前……カッケェよな」

『…私は弱いよ。人を助ける事はできても、人を守る事はできない。その場にいたって、何もできない』

「ばーか。"カッコいい"と"強い"は違えだろ。

お前が弱いなら、俺が守ってやる」


『ふふ、何それ。恩返しのつもり？』

「は？ちげーよ。お前は俺の"ダチ"だからな」

『！………そっか、ありがとう』


"東京卍會"

場地くんが命を張ってでも守りたかったチーム。

そんなチームが、未来ではあんな犯罪組織になってしまうのか…？私には関係ないはずなのに、悔しい。

27.→←25.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す