初めまして、命の恩人です。【東卍】

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最近は病院への出張続きで、家に帰る時間が遅くなることが多かった。

だから、今日がクリスマスだってことをすっかり忘れていた。

『(中学生にとってクリスマスなんて、誕生日の次に大事なイベントじゃん…。

……せめてケーキ買って帰ろう。)』

街のイルミネーションはすでに消えていた。


時刻は深夜1時。唯一売れ残っていたお値段高めのホールケーキを持って帰宅。

『あれ、電気消えてる』

携帯を確認すると、一虎から"帰るの遅くなる"とのメッセージ。

"ケーキあるよ。なんとホール。"と短く返信した。

『…なんか、私だけ楽しみにしてたみたいじゃん』

いい年した大人が恥ずかしいな。今は高校生だけど。


とりあえずケーキを冷蔵庫にしまい、今日診察した患者のカルテを確認する。

……これからどうしようか。

また以前のように、反社会の人達を手術して生きていくのか。

それとも、医者としてまともに生きるのか。



『…あれ、私って何で医者になったんだっけ』

祖父が医者だったから？…違う。


"いっぱい勉強して、将来はお医者さんになるの"

"え？Aちゃんもお医者さん目指すの？…ふふ、Aちゃんなら立派なお医者さんになれそう"

"大切な人をたくさん救えるヒーローになろうね"



…貴女は、誰だっけ。

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