107話 ページ29
・降谷視点
爆処理班が丁度到着したときに、劈くような銃声が辺りに響いた。
音からして屋敷の最上階から。それにサッと血の気が引いて思わずまた屋敷の中へと走り出そうとしたら、赤井から肩を掴まれた。
「いくな降谷くん、いつ爆発するかもわからないんだぞ」
「ッ、そう言われても行かない訳があるか!今の銃声は…!!」
Aが撃ったのか、それか犯人の男が銃を持っていて撃ったのかもしれない。
いずれにせよAの身の危険には変わりがなくて、でも向かうことは赤井や周りの人間が許してくれなかった。
「Aから連絡は!?」
「今のとこは無い!行けるなら俺らも行きたいが、本当にいつ爆発するかわかんねえんだ。今は耐えろ、零」
そういう緑川も、顔には行きたくて仕方がないと書いてあった。
松田たちは煙草を吸いながら待機はしているが、空気は張り詰めたものになっている。見取り図を見ながらなので、いつでも突入できる様にはしているらしい。
膠着したまま動けない警察。
そして、その中には犯人と、単身でそれを追いかけて行ったA。
(頼む、A…!!)
こちらから通信を入れようにも、下手に犯人を刺激してしまうかもしれない上に、まず通信機自体がAによって電源を落とされているみたいで、通信すら出来ない。
本当に自分1人でケリを付けるみたいで、後はもうAに賭けるしかなかった。
いつでも突入できる様にはなっているが、それは向こう側から何かしらのアクションが無ければ無理だ。
下手に刺激してはどうなるか分からない。屋敷どころか、中に残っているAさえも。
「一回お前は落ち着け降谷。焦りは最大のトラップだ。いつも言ってたろ」
ポンと、背中を叩いた松田のその言葉に、不思議とどんどん自分でも頭の中や焦る気持ちが落ち着くのがわかる。
…そうだ、警察学校時代、よくこいつからそう言われていたっけ。
「油断は禁物だが、どんな状況でも落ち着く事が大事だ。焦る気持ちは失敗に繋がる。……Aの事だ。きっと大丈夫」
「…ああ、そうだな。ありがとう」
……羨ましいと思った。
Aと松田は、本当に互いをわかりあってて、別次元の仲の良さがあるのだ。
本当になんで付き合ってないのかと周りに言われるほどに。
……それでも今は、この羨望も嫉妬も押さえ込んで、Aを待とう。
今の俺たちができることは、実際、それしかないのだから。
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るか(プロフ) - 続編と番外編が気になりすぎてて夜も寝れないくらい気になってます!!パスワードを教えていただきたいのですが可能でしょうか、? (5月7日 4時) (レス) id: 50222dda5e (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 続編と番外編が読みたいのですが、パスワードって教えていただけないのでしょうか? (2022年4月22日 15時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
あいる - 初めまして!!こんな神作初めて出会いました。ほんとにほんとに素敵です。お気に入り作者にしてしまいました。パスワードのヒントと作品にてオススメという形で載せたいのですがダメでしょうか?? (2020年11月14日 23時) (レス) id: 23cef4f251 (このIDを非表示/違反報告)
眠猫 - 番外編のパスワード載ってないので教えてくれないでしょうか?作者作品一覧に載ってるのは違う番外編のパスワードのようなので……… (2019年1月28日 18時) (レス) id: b6571f87b9 (このIDを非表示/違反報告)
神無月(プロフ) - 作者の作品一覧の所にパスワードというか、ヒントが載ってますよ (2018年4月22日 19時) (レス) id: 7b5ab892e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2017年12月16日 21時