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「現地に潜入していた、特務課の職員より連絡です。異能分離体が身体の何処かに埋め込まれている紅色の結晶を砕けば、分離していた異能が主人の元に戻るとの報告を」

「……そうですか。霧が晴れるのを待つ事もなく解決する方法があるだけでも希望が見えます。」

異能特務課にて部下達の報告を聞いた坂口安吾は、小さな安堵の溜息を落とす。
あの霧に包まれた横浜内では、異能力者しか存在する事は出来ず、下手に此方側から干渉しても、異能力者の職員であった場合、異能が分離してしまう。
だが解決策は如何にかある様だと安堵はしたが、安心は出来ない。何せ未だ夜はこれからだ。

異能特務課に存在する、異能力者リスト通りならば、後程最終手段として呼び出す予定である中原中也を除いて、今現在横浜に存在する異能力者は首謀者側である澁澤龍彦、太宰治、フョードル・D。
灰色の厄介事を引き受ける武装探偵社の職員、そして、ポートマフィアの一部構成員。

他にも何人か把握している異能力者は居るが、坂口安吾が気が気で無かったのは、人畜無害そうな青年であり、そしてこのリストの中では唯一の一般人である、渡瀬Aだった。

(報告通り、矢張り彼はこの霧の中でも存在している。詰まり其れは、彼が異能力者である事が、否定しようの無い事実である事が証明された訳ですね…)

今度は哀愁漂う溜息を吐く安吾。
かつての友と関わりが深い彼が、この未知の霧の中で一体如何なっているのかと思うと、胃痛すらし出した。

Aの異能は分離していない様だという報告は聞いてはいるが、其れでも今の横浜は、分離した異能達が横浜の街を跋扈している無法地帯だ。
如何せ太宰の事だから、何か手を回してはあるのだろうとは思うものの、安吾は気が気でない。

(……太宰君が首謀者側に回っている真意は読めませんが、其れでも、彼がA君を見捨てる様な事は絶対にないはず)

ならば、彼の事は太宰君に任せようと、そこで一旦思考を打ち切る。異能特務課がやらねばならない事は、山の様にあるのだから。







「却説、辻村君。君の手腕の見せ所ですよ。此れでも私は君に期待していますからね」

「そうやってプレッシャーかけるの善くないと思います先輩!ううう、事後処理の事も考えたら頭痛いですよぅ……」

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『斜陽の罪人』

「たった一つくらい、ハッピーエンドがあっても構わないだろう?」


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あんこ入りのよもぎもち。(プロフ) - 好きです。面白いと言うか、綺麗なお話だと思いました。途中で泣いちゃいました。何と言うか言葉に出来ません。神作ってこう言う物を言うんだと思いました。 (2021年8月11日 4時) (レス) id: 002ae44b05 (このIDを非表示/違反報告)
- めっちゃよかった……もっと絡みが見たい (2021年3月20日 20時) (レス) id: 7f95d97ba7 (このIDを非表示/違反報告)
6代 - 1日読み尽くして感情移入してしまいました、素敵な作品に出会えて良かったです。 (2020年11月10日 0時) (レス) id: 13ac01a0ba (このIDを非表示/違反報告)
織架 - すげぇ、好きっす。 (2020年10月7日 18時) (レス) id: 379e4fa26b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - あっ…好きです。 (2020年10月3日 23時) (レス) id: 3d47931e7d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年10月14日 0時

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