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だざいさんがちゅうやさんたちに何か頼んでいて、それで一旦お開き、の様な感じになって二人は帰っていった。
だざいさんもだざいさんで、さっきから何人かに電話をかけているみたいで、邪魔したらいけないとおれは静かに待っていた。
そんなおれを見て、笑顔を見せながら手持ち無沙汰に頭をなでられる。
一言二言話して、それでようやくだざいさんは電話を終えた様で、「遅くなって御免ね」と屈んで改めてまたおれの頭をなでてきた。
「君の所へ来る為に仕事ほっぽって来ちゃったからね。同僚から怒られちゃった。事情を話したら納得はしてくれたのだけれど、私もお仕事があるのだよ」
「お、おれ、一人でここにいるよ」
「だぁめ。何があるか分からないだろう?現に其の姿になってるのだもの。君には自覚は無いだろうけどね。
だから私のお仕事をする場所に君も一緒に連れて行こうと思うのだけれど、善いかい?」
だざいさんのお仕事をする場所。
その人たちもだざいさんと同じく、未来のおれ、とやらを知ってる人達なのだろうか。
仮に本当だとしても、めんしきがあるのはその未来のおれであって、今のおれではない。
おれからしたら知らない人達ばかりのところは、少しこわいというか、やっぱり勇気がいる。
「……ちびっ子のくせに、ちびっ子らしからぬ事考えてるでしょ」
「?」
「そうだね。君は確かに賢い子だ。だから手も掛からなかったのだろうね。でも子供は大人に護られていれば善いのだよ」
この人の考えていることは、正直よくわからないし、おれが子供でなかったとしても、きっと誰もわからないんじゃないかと、何となく思った。
大きな手がおれに差しのべられて、おれはそっと手をとる。
だざいさんに抱きしめられたりしていたから、気づいてなかったけれど、だざいさんは腕に包帯を巻きつけていた。
「だ、だざいさん、その包帯、」
「うん?」
「痛くないの?だいじょうぶ?痛かったら、おれ、手を引かれなくても歩けるよ」
きょとん、としただざいさんは、一拍置いたあと、おかしそうに笑い出した。こっちは真剣なのに。
「うふふ。嗚呼、矢っ張り、君は小さくてもAなんだね。君のその真っ直ぐな心配が、昔の私は最初擽ったいと思っていたの、思い出したよ」
じゃあ、行こうか、と手を引かれて、おれとだざいさんは外に出る。
……その目的地に着くまでの間、だざいさんはずっと上機嫌だった。
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遥@携帯の調子悪くて返信遅れます(プロフ) - コメント一括にて失礼します。最近携帯の調子悪いので…皆様お待たせしました。次の話でとりあえずは彼の話は一旦終わりとなります。最後まで書き切りますので、それまで見てくださると嬉しいです。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
至恩(プロフ) - お久しぶりです!わーい更新だー!って通知見て思いました! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 77907255a2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の死神(プロフ) - わわ…!更新待ってました!これからも頑張って下さい! (2019年10月13日 1時) (レス) id: eb1a5cc196 (このIDを非表示/違反報告)
或 - どストライクで大好きな作品です!応援してます!! (2019年9月27日 13時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
フェルト - すごく大好きです!頑張ってください! (2019年9月26日 18時) (レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2019年2月15日 19時