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・中也視点
マフィアだった、と太宰に告げられた樹は、驚いた様に大きく目を見開いた後、何処か納得した様に目を伏せた。
全て悟ったのだろう。今迄のAの行動に、合点がいった顔をした。
「身元が開かせないから、兄貴は頑なに貴方達の名前すら云わなかったんですね。
じゃあ、初めて名前を聞いた中也さんは、今もマフィアだという事ですか」
「……おう」
畏怖や恐怖といった感情は感じない。
只、目の前の真実を噛み締めている様な様子に、俺も太宰も、何と声を掛けたら善いのか解らない。
反抗期だと聞いていた噂の弟は、今日一日過ごしていただけでも解るくらいの、素直になれないだけの兄と妹想いの子供だった。
「誤解はしないで呉れ給えよ。私とAが出逢ったのは偶然だ。彼は私達と違って、何ら非合法な事に手を染めてはいない。
只、1人の友人として、私達と一緒に居てくれたのだから」
「…分かっています。兄は、そんな事する様な奴ではないので」
悔しくなっただけだと、樹は呟く。
「俺が怪我をしたあの日からずっと、俺は兄貴にずっと護られてばかりだと思って。其れが悔しくなったんです。
兄の事だから、自惚れでも何でもなく、何に代えても俺達を護ろうとするのが、分かりますし」
「………」
「嗚呼────でも、貴方達も、兄を、護ってくれていたのか」
其れならば、俺からは何も云えないと。
今頃、未だ眠っているであろう兄と妹の部屋の方向に、一瞬だけ、視線を向けた樹。
そうか、此奴も、兄と同じ様に家族を護ってやりたかっただけの、嘗てのAと同じの、自分の無力さが悔しい、子供なのだ。
「焦るモンじゃねェよ、樹。Aも昔の手前と同じ様に、自分の無力さを悔やんで苦しんでたんだ。
経験や知識は、焦って身に付けるモンじゃない。…手前はちゃんと、普通に生まれて生きてきた子供だ。ゆっくりで、其れで善いんだよ」
黒社会で生まれて、経験と知識が無ければ死に近付いていく様な殺伐とした世界にお前達は生まれてきた訳ではないのだから。
普通に生まれて、普通に生きてきたお前達には、俺達と違い、『生き急ぐ』行為は、俺は絶対推奨しない。太宰もだ。
「只、其れ位兄貴の事が心配なら、彼奴にもう少し、素直になってやってくれ。」
………俺達以上に生き急いでいるかもしれない、Aの事は、屹度家族にしか分からない事も屹度あるから。
其の部分は敢えて口にせず、気まずそうに目を伏せた樹は「………努力します」と呟いた。
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遥@携帯の調子悪くて返信遅れます(プロフ) - コメント一括にて失礼します。最近携帯の調子悪いので…皆様お待たせしました。次の話でとりあえずは彼の話は一旦終わりとなります。最後まで書き切りますので、それまで見てくださると嬉しいです。 (2019年10月13日 20時) (
レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
至恩(プロフ) - お久しぶりです！わーい更新だー！って通知見て思いました！ (2019年10月13日 7時) (レス) id: 77907255a2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の死神(プロフ) - わわ…！更新待ってました！これからも頑張って下さい！ (2019年10月13日 1時) (レス) id: eb1a5cc196 (このIDを非表示/違反報告)
或 - どストライクで大好きな作品です！応援してます！！ (2019年9月27日 13時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
フェルト - すごく大好きです！頑張ってください！ (2019年9月26日 18時) (レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥
| 作成日時：2019年2月15日 19時
