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・中也視点
横浜郊外にAの好きそうな店をネットで調べたら出て来た為、全員で家を出て其処へ向かう事になった。
未だに受け止めきれてないAは、樹に抱き抱えられながら時折チラチラと希と樹の顔を見ている。
…まあ、そりゃそうだわな。
「兄貴如何した。何処か痛い?」
「そ、そんなんじゃないけど、本当に、希と樹なのかなって…」
「……面影位はあるだろ?まあ、子供に信じろっていう方が難しいかもしれないけど」
既に順応している兄妹は、小さくなったAの頬を二人でつついている。
……何というか、この兄妹。下手したらA以上の順応性があるのかもしれない。これが若さか…(?)
樹の方はAから良く「反抗期で悲しい」という話は聞いといたが、Aが小さくなった所為なのか、流石に小さい子供にまで冷たい態度は取れないのだろう。
話す雰囲気は柔らかいし、何よりAを甘やかしている。何方が本来は兄なのか分からない。
「……本来のAが今の樹君見たら涙流しながら大喜びするだろうねえ…」
「だろうな…」
普段からAの弟への泣き言を聞いている此方の身としては、若し今のAがこの光景を見たら喜ぶ事は容易に想像がつく。
「そう云えば、二人はいつまで横浜に滞在するんだい?」
「あ、明日の夜には帰ります」
「随分カツカツで来たんだな?」
「希は今年受験生ですし、俺もバイトとか色々あるしで、二人揃って来れる日がこの連休位しか無かったんです。
本当は昼辺りには着く予定だったんですけど、俺が予定入って大幅に遅れたんですよね」
「真逆お兄ちゃんが小さくなってるとは思わなかったけど!」
夕餉時で、俺達と同じく外食にでも行くのであろう親子連れや、学生の姿が多くなって行く。
そこそこ人通りが多くなり、ぶつからない様に気を付けないと、と思って居たら、Aに気を取られていたらしい樹は、前から歩いて来た男と軽くぶつかった。
「わっ、すみません。此方の不注意で…」
「いいえ、大丈夫ですよ。……おや?君は……」
「?」
「君達の顔、…真逆」
「その子から離れ給え魔人。」
「……げぇっ、此奴、魔人かよ」
Aを抱き抱える樹を背に隠す様に前に出て来た太宰は、今しがたぶつかった男──フョードル・Dをまるで睨む様に目を細めた。
険悪になる雰囲気を横目に、俺はいざと首領から貰った“アレ”を使おうと、俺も希を後ろに隠しながら、暫くは静観する事にした。
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遥@携帯の調子悪くて返信遅れます(プロフ) - コメント一括にて失礼します。最近携帯の調子悪いので…皆様お待たせしました。次の話でとりあえずは彼の話は一旦終わりとなります。最後まで書き切りますので、それまで見てくださると嬉しいです。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
至恩(プロフ) - お久しぶりです!わーい更新だー!って通知見て思いました! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 77907255a2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の死神(プロフ) - わわ…!更新待ってました!これからも頑張って下さい! (2019年10月13日 1時) (レス) id: eb1a5cc196 (このIDを非表示/違反報告)
或 - どストライクで大好きな作品です!応援してます!! (2019年9月27日 13時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
フェルト - すごく大好きです!頑張ってください! (2019年9月26日 18時) (レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2019年2月15日 19時