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・中也視点

『で?Aの様子は?』

「何も危害も加えてないから安心しろ。寧ろ高待遇だ。今は首領達にケェキやら洋菓子やら食わせられてて逆に困惑してるよ」

『森さん世の安寧の為に矢っ張り滅したら駄目かな…』

「俺との電話で堂々と云うのは辞めろ莫迦」

太宰から着信が入った為、少し席を外して通話をする。
あの後任務から大急ぎで戻って来た姐さんも参戦して、賑やかさは更に増したところだ。
太宰の事だから何も危害は加えていない事は分かっているだろうに、態々電話を掛けてくるのは、子供の姿になった所為もあって更に過保護だ。

「ちゃんと帰す。というか、首領に面倒を見てやって呉れと云われたからな」

『はぁ〜〜!?私も社長から三日間有給貰って面倒見るんですけど!?』

「手前真面な飯作れンのか?無理だろ。大体!俺はAの世話をするだけであって、手前の分の飯なんざ作る心算はねェからな!」

何時も通りギャンギャンと電話越しに云い合っていると、「ちゅうやさん、」と控え目な声が下から聞こえてくる。
くいくい、と小さな力で俺の外套を引っ張るのは、首領の部屋で可愛がられている筈の小さなAだった。

「エリスがまだもどってこないのって、云ってるから呼びにきた。」

「ん、もうそんな時間経ってたか?悪ィな」

「ううん。それにあの、着物の女の人が、その、すごくきれいでびっくりして。ちょっと逃げてきちゃった」

えへへ、と照れ臭そうに笑うAに目覚めたこの感情は、恐らくは父性と云うのだろう。
綺麗な女性に驚いて思わず逃げてしまう、と云うのは真実を知らない姐さんからしたら落ち込んでそうだが、子供らしい初心らしさが俺は堪らなくなってついつい抱き締めてしまった。

『あっこの声A!?おーいA〜〜!』

「あれ、この声だざいさん?」

「妖精の類だ気にすんな」

太宰と通話中だった事を思い出し、余計な事を喚かれる前に通話を切った。
今頃切られた事でギャンギャン喚いているであろう太宰にざまあみろと思いつつ、Aを抱えて首領室へと足を進めていく。

「お、おれ、もうそんな抱っこしてもらうくらいの子供じゃないのに…」と少し不貞腐れているAを見て、また同じ父性が芽生えてしまった。






「私は嫌われておるのかのう…?」

「姐さん、此奴は姐さんが綺麗過ぎて驚いただけの様ですよ」

「! ふふ、童なのに口が上手いのう」

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遥@携帯の調子悪くて返信遅れます(プロフ) - コメント一括にて失礼します。最近携帯の調子悪いので…皆様お待たせしました。次の話でとりあえずは彼の話は一旦終わりとなります。最後まで書き切りますので、それまで見てくださると嬉しいです。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
至恩(プロフ) - お久しぶりです!わーい更新だー!って通知見て思いました! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 77907255a2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の死神(プロフ) - わわ…!更新待ってました!これからも頑張って下さい! (2019年10月13日 1時) (レス) id: eb1a5cc196 (このIDを非表示/違反報告)
- どストライクで大好きな作品です!応援してます!! (2019年9月27日 13時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
フェルト - すごく大好きです!頑張ってください! (2019年9月26日 18時) (レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年2月15日 19時

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