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「も、森先生、これはいったい」
「すまないねA君。無理矢理連れて来て仕舞って。
如何やら経緯は多少なりとも聞いている様だから云うけれど、君が子供の姿に戻ったと聞いて居ても立っても居られなくなったんだ。許して欲しい」
おれからしたら、森先生は少し久しぶりに会う人、くらいの感じだけれど、どうも森先生からしたら違うらしい。
色んな人の口からでてくる『未来のおれ』は、未来でもこの人と出会っているようだった。
ふに、となでるようにおれの頬に手をすべらせる感覚がくすぐったい。
「……うん、懐かしい。今も昔も、君が私に向ける瞳は変わらずだ。」
変わりない。今も昔も。
未来のおれも、今のおれと変わらず、このひとに、あこがれている?
「……その未来のおれ、は少しくらい、森先生みたいになれてますか?」
おれがそういったら、驚いたように森先生はぱちりと目をまたたかせる。
少しだけおかしそうに笑ったあとに、悲しげに目をふせながら、「立派な子になっているよ」とだけいった。
「君はこれから沢山の人と出逢って行く。君が今日目にした人達は、未来の君と繋がりを持つ人達だ。
……因果の糸は全て私にある。君と私が出逢ったから、君は一般人であっても、此方の世界に無関係の人間では無くなってしまった。」
「…?」
「あの日、通り掛かったのが、私では無かったら、と」
「リンタロウ」
どこか棘のあるようなふくみを持たせたエリスの声が、森先生のことを呼んだ。
エリスのことを少し見た後に、どこか納得したように、「そうだね」と森先生は、それだけつぶやいた。
「其れでもあの日、君が如何しようも無くなった時、迎え入れると云ったのは、決して嘘じゃないから」
屈んで、目線をあわせてきた森先生がなでるてつきは、だざいさんのそれと似ていて、少しびっくりした。
どうして、だざいさんも、あんごさんも、森先生も、ちゅうやさんも、エリスも、みんなおれを見て、似たような顔をするのだろう。
……子供のおれには、わかんないや。
「……森先生、きになってたんですけど、そのかっこう、」
「これ?これはね、コスプレだよ」
「こす…?」
「「(誤魔化し方雑……)」」
実際はマフィアの首領服だとは云える筈もない森先生の誤魔化しに、中也とエリスがそう思っていたのは、当然幼い俺は知らない。
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遥@携帯の調子悪くて返信遅れます(プロフ) - コメント一括にて失礼します。最近携帯の調子悪いので…皆様お待たせしました。次の話でとりあえずは彼の話は一旦終わりとなります。最後まで書き切りますので、それまで見てくださると嬉しいです。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
至恩(プロフ) - お久しぶりです!わーい更新だー!って通知見て思いました! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 77907255a2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の死神(プロフ) - わわ…!更新待ってました!これからも頑張って下さい! (2019年10月13日 1時) (レス) id: eb1a5cc196 (このIDを非表示/違反報告)
或 - どストライクで大好きな作品です!応援してます!! (2019年9月27日 13時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
フェルト - すごく大好きです!頑張ってください! (2019年9月26日 18時) (レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2019年2月15日 19時