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あんごさんと、だざいさんが話しているむずかしい事はおれにはよく分からない。
黙って待っている間、だざいさんと話していたあんごさんはおれに「身体には痛いところとかはありませんか?」と聞いて来た。
「な、無いです」
「体調が優れないとかは?」
「それも無いです」
「……顔色も良好ですし、無理をしているようにも見えないですね。あくまで干渉するのは精神と時間にだけ…」
「其れにしてもこのトンデモ写真機、回収して其の後は如何するの」
「然るべき処置を施して封印しますよ。厳重にね。先程も云いましたが、意外とこういった類の物は一般民家からも出て来る事もあります。被害を更に増やす前に、ちゃんとした封印を施さないと」
サラサラと何かを書いているあんごさんの顔はすごく真面目だ。
お仕事のできる人って、きっとこういう人をいうのだろう。
「因みに効果は約三日。元の姿には戻る様です。ただ戻った後の副作用が若しかしたらあるかもしれないですし、太宰君、三日間、A君の事を見てくれますか?」
「云われ無くても其の心算だよ。彼処の家に一人にさせる訳にもいかないもの。」
「……福沢社長には私から伝えておきます」
あんごさんがじっとおれを見て、何かを云いたそうにしていた。
少し口を開いて、でも閉じるのくりかえしを何回かしていて、みかねたのか、だざいさんが小さくため息を吐いて「一寸私お花摘みに行って来るよ」と立ち上がった。
「安吾が君に云いたい事があるみたい。安吾と少し二人だけになるけど大丈夫。怖い人じゃ無いのは、聡い君なら分かるだろう」
「……」
「……有難う御座います、太宰君」
「別に〜」
扉を開けて出て行ってしまっただざいさんの背中を見送ったあと、あんごさんは「済みません」となぜか謝ってきた。
「太宰君にも気を遣わせて仕舞いました。本当は太宰君と一緒の方が不安では無かったのでしょうけど、如何しても一度だけ、君と二人で話してみたかったんです」
……この人も、やっぱりおれを知っているのだろうか。
子供のおれには理解できない、たくさんの事を未来のおれは抱えている。
おれにとっては知らない、あんごさんに、こんな顔をさせるくらいの、ことを。
「屹度、未来の君と僕は出逢える事は無いけれど、こんな事態で不謹慎ですが、……君にやっと逢えて、良かった」
×××××
最近ぐらぶるくん沼
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遥@携帯の調子悪くて返信遅れます(プロフ) - コメント一括にて失礼します。最近携帯の調子悪いので…皆様お待たせしました。次の話でとりあえずは彼の話は一旦終わりとなります。最後まで書き切りますので、それまで見てくださると嬉しいです。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
至恩(プロフ) - お久しぶりです!わーい更新だー!って通知見て思いました! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 77907255a2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の死神(プロフ) - わわ…!更新待ってました!これからも頑張って下さい! (2019年10月13日 1時) (レス) id: eb1a5cc196 (このIDを非表示/違反報告)
或 - どストライクで大好きな作品です!応援してます!! (2019年9月27日 13時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
フェルト - すごく大好きです!頑張ってください! (2019年9月26日 18時) (レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2019年2月15日 19時