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だざいさんが電話に出ると云って、しばらく席を外している間は、みなさんにおれは遊ばれていたが、おれが嫌がるようなことは絶対にしなかったから、だざいさんの言う通り、ここにはいい人ばかりがいる。
現実味をおびてきた、未来のおれの事が気になっていく。こんなたくさんの人達とのつながりを持って、おれは、おれのなりたいものになれたのだろうか。
すると、何やらげんなりとした顔でだざいさんが戻ってきた。
「………A……」
「な、なに?」
「君の親権は私が必ず守ってみせるからね…!」
「………うん?」
肩をつかまれて、何か覚悟を決めたようなだざいさんの有無を言わせないような瞳に、あいまいにしか返せない。
というか、すごい勢いで電話かかってきてるけど、だざいさん無視してる。出なくていいのかな。
「社長、もう少ししたら探偵社に異能特務課が来るんですが、会議室お借りしても善いですか?」
「構わんが、異能特務課?Aの件でか」
「はい。今探偵社の方で一時的に保護の名目で連れて来たと云ったら、此方に直々に来るらしいので。
被害は一般人にも何人か出ているようです。直接会って確認して、不調など無いかを見る様で」
「判った。好きに使うと善い」
だざいさんと、ふくざわさんの話している内容を側にいたよさのさんは聞いていたのか、ふに、とおれの頬を軽くつまむ。
でもその手つきは、さっきのまでとは違って、まるで触診する手つきみたいだ。
……森先生と同じ、医者の人がするような、手つき。
「……触った感じも顔色も、特に異常は無いけどねェ。アンタ、今更だけど体調悪いの隠していたりはしてないだろうね?」
「し、してない。ほんとに。」
「なら善いンだけどね。」
ぽんぽん、と軽くなでられる。
「……妾はねェ、アンタの事は結構気に掛けているンだよ。出逢う前からね。
あんな
「?」
「此方の話さ。其れで善い。アンタは其れで。例えどれだけ厄介事に巻き込まれても、アンタは一般人のままであり続けるんだよ」
どこか遠くを見るような目で、おれを見つめるよさのさんの言葉の意味はよくわからなくて、でも、其れを望むような、切実なその瞳に思わず、おれはうなずいた。
「屹度アンタは、一般人の線引きを超えて仕舞ったら、間違い無くマフィアに引き込まれるだろうからね」
最後につぶやかれた、その言葉の意味さえも、わからず。
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遥@携帯の調子悪くて返信遅れます(プロフ) - コメント一括にて失礼します。最近携帯の調子悪いので…皆様お待たせしました。次の話でとりあえずは彼の話は一旦終わりとなります。最後まで書き切りますので、それまで見てくださると嬉しいです。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
至恩(プロフ) - お久しぶりです!わーい更新だー!って通知見て思いました! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 77907255a2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の死神(プロフ) - わわ…!更新待ってました!これからも頑張って下さい! (2019年10月13日 1時) (レス) id: eb1a5cc196 (このIDを非表示/違反報告)
或 - どストライクで大好きな作品です!応援してます!! (2019年9月27日 13時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
フェルト - すごく大好きです!頑張ってください! (2019年9月26日 18時) (レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2019年2月15日 19時