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・太宰視点
社長に怖がっていたAは今は何処へやらだ。
何とか社長が一緒に話そうと懸命な努力が実ったのか、辿々しくはあるけれど、Aは社長と少しずつ話せるようになっていた。
鏡花ちゃんの頃から思っていたけれど、割と社長は子供には優しいというか、甘いところがある。
加えて、森さんとの関係がある、只の一般人で、そしてまた何かしらに巻き込まれて子供の姿になってしまったのなら屹度尚更だ。
社長も社長で、Aの事をずっと気に掛けていたと云うのは、あの後社長本人から聞いた。
関わらせたら碌な事になりそうにないと、社長自身もそう思っていたようで。
「社長、Aは猫じゃないです」
「……すまん」
社長は社長で、子供の扱いにそんなに手慣れていると云うわけではないから空回って、とうとう猫じゃらしまで取り出す始末だった。
というか、何時も懐に仕舞ってるんですね、猫じゃらし。
「そう?反応が猫っぽいから強ち間違っても無いかもよ?」
「乱歩さんまで」
「だって撫でる度に、喉を鳴らす猫みたいに、『う。』とか『あう』とか声出すし。ほら、Aくん、にゃあって云ってご覧」
「……?にゃあ?」
子供は素直だから直ぐに大人の言う事を聞く。
女性の社員の方達を始めとして、揉みくちゃに撫でられたり触られたりしているその姿は、確かにまるで猫の様だ。
特に鏡花ちゃんは、Aの頬を無心でむにむにと摘んでいて、されるが儘のAはこの数時間で結構順応している。
「可愛い。小さい。」
「う、おねえちゃ、くすぐった、」
「………」
あっ狡い。お姉ちゃん呼びは狡い。
私もパパでもお兄ちゃんでも何でもいいから、だざいさん以外の呼び方が欲しい。
乱歩さんはそんな光景を見て「社長善かったね。孫が増えたよ」などと云い出した。
……慥かに前、誤魔化す為に鏡花ちゃんを孫だと云ってはいたけど。
「………A」
「? はい」
「一度で善いからおじいちゃんと」
「社長、落ち着いて下さい」
おかしい。私は何方かと云えば、ボケ役の筈なのに、何故こうも私は上司や皆にツッコミをしなければならないのだろうか。
何時ものツッコミ役(時々ボケ)の敦君も、鏡花ちゃんと一緒にAを撫でている。
駄目だ此処。日々の殺伐とした依頼を請け過ぎて、子供に癒しを求めて仕舞っている。
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遥@携帯の調子悪くて返信遅れます(プロフ) - コメント一括にて失礼します。最近携帯の調子悪いので…皆様お待たせしました。次の話でとりあえずは彼の話は一旦終わりとなります。最後まで書き切りますので、それまで見てくださると嬉しいです。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
至恩(プロフ) - お久しぶりです!わーい更新だー!って通知見て思いました! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 77907255a2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の死神(プロフ) - わわ…!更新待ってました!これからも頑張って下さい! (2019年10月13日 1時) (レス) id: eb1a5cc196 (このIDを非表示/違反報告)
或 - どストライクで大好きな作品です!応援してます!! (2019年9月27日 13時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
フェルト - すごく大好きです!頑張ってください! (2019年9月26日 18時) (レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2019年2月15日 19時