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「悪ィな。もう着替えたし大丈夫だ。先刻は挨拶出来なかったから自己紹介だ。俺は中原中也。宜しくな、A」
無邪気な顔で笑いながらおれの頭をなでるちゅうやさんも、だざいさんやりゅうさんと同じくおれのことを知っているらしい。
おれの未来のともだちだとちゅうやさんも、だざいさんと同じことを云った。
「……その話が本当だとして、未来のおれは、どういう経緯でみんなと友だちになったの?」
「其れは何れ君自信が知る事だし、解ることだ。友達なのは本当だよ。だからこうやって此処に、私達集まっているのだもの」
だざいさんに軽々と抱っこされて、なんだか気恥ずかしい。
もうそんな、抱っことかそうは云いださないくらいの年齢だけれど、だざいさんはなんか隙を見せたらすぐに抱っこしようとしてくる。
「友達だとか、そういうのは信じなくても善いのだけれど、でも君には決して私達は危害は加えないって事だけは信じて欲しいのだよ。
だから少し聞きたい事があるんだ。改めて聞くけれど、君の名前は?」
「………渡瀬A」
抱っこされているから逃げ場がない。
がっちりと抱え込まれていて、綺麗な顔が近くて、目のやり場にこまる。
「ふむ、では私達の事は覚えていないし知らない。此れもそうだね?」
「う、うん…」
「うーん、そうだなぁ……何て聞き方のが善いのだろう。Aは今記憶は何処まであるの?」
「?」
質問の意味がわからなくて、首をかしげる。
そんなだざいさんも、おれにつられるように首をかしげた。
「ううん……子供相手に聞くのって難しいねえ。じゃあ最近何か大きな出来事とかあったりしたかい?何でも構わないよ。君が覚えてる限りで」
「お、弟が…怪我をした、ことなら」
ピタリと、まるで本で見た能面みたいにだざいさんの表情がかたまって、思わず「ひえっ」と情けないこえがでてしまった。
おれの反応を見てすぐさまとりつくろっただざいさんだったけれど、きれいな人の真顔って、こわいんだな…と学んだ。
「おれがちょっと目を離したすきに、弟が怪我しちゃって、それで、助けてくれた人がいたこと…とかでもいいの?」
「ううん、有難う。十分重要な話だ。私の中の仮説が合っているかもしれないね。因みにその人の名前は解るかい?」
「も、森せんせい。森鴎外せんせい。」
すっっっごい苦い顔をしただざいさんに、大丈夫?と聞いても全然大丈夫そうじゃなかった。
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遥@携帯の調子悪くて返信遅れます(プロフ) - コメント一括にて失礼します。最近携帯の調子悪いので…皆様お待たせしました。次の話でとりあえずは彼の話は一旦終わりとなります。最後まで書き切りますので、それまで見てくださると嬉しいです。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
至恩(プロフ) - お久しぶりです!わーい更新だー!って通知見て思いました! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 77907255a2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の死神(プロフ) - わわ…!更新待ってました!これからも頑張って下さい! (2019年10月13日 1時) (レス) id: eb1a5cc196 (このIDを非表示/違反報告)
或 - どストライクで大好きな作品です!応援してます!! (2019年9月27日 13時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
フェルト - すごく大好きです!頑張ってください! (2019年9月26日 18時) (レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2019年2月15日 19時