ヨコハマのヤベー奴らと一般人くんの日常 弐【男主】

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あれから太宰と織田さんは音沙汰無い。

気まずくなってしまった所為もあるのかもしれないが、織田さんが何の連絡も返せないという事は、あの二人は本当に今忙しいという事なのだろう。
マフィアだからその仕事内容はきっと危険が付き物なのだろうが、無事であることを祈るのみだ。そして、太宰がその仕事を終えたら、謝ろう。素っ気ない態度を取ってしまったのは後悔しているのだから。

時折中也からは連絡が来る。
中也も忙しいだろうに、「太宰に比べちゃそうでもねェよ」と顔を出しに来る事もあった。

「手前、太宰と何かあったのか？」

云い辛い事をズバッと核心を突いてくる中也に「う゛っ」と分かりやすく動揺してしまう。
矢ッ張りな、と云わんばかりに中也は溜息を吐いた。

「太宰の奴が最近なんか苛々してるから何事かと思ったが、まあ多分手前絡みの事なんだろうなとは思ってたが」

「いやあ…俺が一寸素っ気ない態度取ってしまったというか…」

「……まあ深くは聞かねえけどよ。其れは最近織田と何か話してる事にも関連するか？」

鋭い。中也は結構勘が冴え渡るタイプだから、正直本当に油断ならないというか、普段太宰をガミガミ叱っているから思われないのだろうが、恐らくは天才肌だ。
恐ろしく頭の回転も早いし、聡明だ。太宰が余りにも狡猾で、それ以上の天才肌なものだからあまり分からないだけで。

「云えねえって顔だな。ま、察するに俺らの事じゃねえの」

「…何で」

「手前らの距離感の事は前々から俺らも思ってたし、手前が悩んでるのも当たり前だろ。他人が気付く位なんだ。
だから話しやすくて年上の織田に相談してたが、其れを太宰に問い詰められたとかじゃねえのか」

「…何でわかっちゃうかな」

「考えりゃ分かる。……まあ太宰は手前を前にすると阿呆になるから、其処まで至らなかったみてえだがな」

ぽんぽんと頭を撫でられる。
貼り付けていた様に固まっていた顔の筋肉が緩々と緩むのが分かって、大人しく其れを享受した。
…小さいと云ったら中也は怒るけど、お兄ちゃんみたいだ。嗚呼、そうだ。中也も面倒見が良いんだ。身内には甘い傾向がある、そういう所はきっとマフィアに向いてないんだろうな、って処が。

「友達と喧嘩とかした事ねえタイプだろ」

「…思い返すと、大きな喧嘩とかはなかったな」

「だろうと思った」

俺の顔を見た中也がぱちりと目を瞬かせる。
「酷え顔してんぞ」とすら云われた。

俺は今、どんな顔をしているのだろうか。

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