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・織田作視点
繋がれた縁と糸は、確かに時間が経てば徐々に薄れていく。
特に、何も最初共通点も何も無い、本当に只の他人同士であったのなら尚更だ。
何度か出逢うにつれて、その繋がりと糸はどんどん強固なものになっていく。
強く結ばれるもの。絡まり合って、元に戻れなくなるもの。一方的に繋がれるもの。
意図せずに繋がり、そして偶然が重なってしまった決定的な出逢いで、切れないものとなる事もある。
人間の縁や出逢いというものは不思議なもので、因縁のある相手とは、どれだけ道を違えてもまた互いに向き合う事だってあるのだ。
神が仕組んだと云われても信じてしまいそうなくらいの、偶然の重なり合いにより、繋がった因果の糸がまた再度繋がる。
まるで、
渡瀬Aという子は普通だった。
何処にでもいる、普通の人間だった。
普通の人間であるはずなのに、彼を取り巻くものには、太宰治や中原中也、闇の中で生きる人間さえいる。
大凡、普通に生きていたら絶対に遭遇する事すらない筈なのに。
彼らは見えない糸で繋がっていた。強固な繋がりとさえ化していた。立場や住む世界さえも超えて、光と闇は、確かに共存していたのだ。
だが───
(………何だ?)
拭えない違和感が一つだけあった。
(あの子は、
何でもない普通の青年。
其れは確かであるはずなのに。『今』に至るまでに、渡瀬Aという人間は、一体誰に出逢ったのだろうかと。
優しく、面倒見が良く、頭だって良い好青年。
だが、Aが今に至るまでの、彼の人生の構成の中に、何か
長年の仕事で培った経験。
人を昔殺してきた俺だからこそ分かる、人間の中に含まれる悪というものは、敏感に俺は感じ取れる。
「……織田作?」
ぼんやりとしていた俺を不思議そうに太宰が呼んだ。
考え事をしていたと云えば、さして興味もなかったようで、相槌を打って太宰はまた中原さんとAの方を見る。
(……まあ、気の所為だろう)
寧ろそうであってくれと思いながら、未だに膨れっ面の太宰の頭を再度撫でた。
×××××××
時折アニメ黒の時代見返すんですけど、何度見てもマモの太宰さん完璧すぎると思うんですよ
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遥(プロフ) - 勿論不快にさせた事実は変わりませんが、改めまして女狐呼びは後日修正させていただきます。公式からの呼び名がもし出たらその際はまた変えるかもしれないです。今回はお騒がせしてしまい申し訳ありませんでした。 (2019年7月28日 1時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - ららさん» 妲己、というのもよく考えたら失礼かなと思ったので追記を。前記の通りキャラを貶す意図はなく、クリスティ爵の残酷な面が垣間見える彼女の言葉一つで街を焼ける、といった権力の強さに狐であった妲己のようだ、といった自分の解釈もあります。→ (2019年7月28日 1時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 呼び方の方は後日修正させていただきます。コメントありがとうございました。 (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 誤解を招くようですが、クリスティ爵はとても好きです。映画で動いて声もついたのは本当にとても嬉しかったです。映画のイメージで「こう言う感じの方かな」と言ったイメージが先走ってしまって申し訳ありません。それと夢主持ち上げ、というよりはその辺の→ (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - ららさん» といった意味で女狐呼びをさせていました。軽率にしてしまい申し訳ありません。情報が少ない方なので、私なりの解釈等も混ざってしまい、呼び方等に不快な思いをさせてしまって申し訳ないです。決してキャラを貶すために使ったものではありませんでした。→ (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2018年11月13日 18時