11 ページ12
・中也視点
この数週間、いつにも増してやる気が無かった太宰は久し振りの休みのこの日、嬉々として何処かへと駆け出していった。
然もスキップまでしてやがる。気色悪ィ。
うだうだと「あ〜〜」だの「う〜〜」だのだらけていた太宰は、休みの前日は普段に比べたら真面目に仕事を遣っていた。
何か楽しみな事でもあるのかと思ったが、そうだとしても此奴が楽しみにしている事なんざ、どうせロクな事ではない。
だがしかし、逆にあんなスキップしてまで楽しみにしていた事は何なのかというのも正直気になる。
つー訳で太宰に気付かれないように尾けては居たのだが、隙がある様で全然隙がない太宰にいつの間にか撒かれていた。
然し、それくらいするって位には周りに警戒してるのか…或いは、あまり勘付かれたくない事なのか。
然し、逃げ足が速すぎる彼奴を見つけるのは実際至難の技だ。
後から川を流れているのを発見したりはするものの、今回は別に入水する雰囲気でも無かったから、川に行っても居ないだろう。
「どこ行きやがったあの青鯖…」
何やら大荷物だったが、彼奴があんな荷物を持って行くところなんざあったか？
何処までも予測不能なあの男の行動に苛立って、ついつい舌打ちしてしまう。
すると、目の前から財布だけ持った男が走ってくる。
何やら急いでいるらしく、割と全力疾走だ。
さして気にも留めず、この儘太宰が見つからない様なら、マフィアの方に戻るか──と思ったところで、
通り過ぎる寸前、男から太宰の匂いが微かにだが、確かに匂った。
「ぅえっ？」
其の儘通り過ぎる前に男の腕を掴んで引き止める。
何が何だか分からないように困惑する瞳。見たところ、普通の一般人だ。裏のモン独特の気配も何一つ感じない。
然し、腕を掴んだところで確信に変わった。此奴、太宰の匂いがプンプンしやがる。匂いがする程、確かに先程まで此奴は太宰と居たはずだ。
「おい、手前、正直に答えろ。太宰治っていう包帯野郎を見なかったか」
質問にきょと、と目を丸くする男は「太宰治…」と名前を反芻してから、何処か納得したような顔をする。
「太宰君の事？その人なら確かに知ってるし、今俺の家に居るけど……」
────どうやら、大当りの様だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1400人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
零 - 未だに太宰のSSRが来ない😭(やり始めて1年半です) (3月4日 6時) (
レス) @page38 id: 384173ed73 (このIDを非表示/違反報告)
安息香酸 - コメント失礼します。もし良かったら番外編のパスワード教えて頂きたいです！ (9月8日 14時) (レス) id: 7f39e79d81 (このIDを非表示/違反報告)
おしとう(プロフ) - ミナさん» コメント失礼致します。もし可能でしたら番外編のパスワード教えていただきたいです！！ (2023年3月4日 21時) (レス) id: b3cffe0f1c (このIDを非表示/違反報告)
ミナ - 番外編のパスワードを教えてもらいたいです！ (2022年3月12日 18時) (レス) id: edad4e8a78 (このIDを非表示/違反報告)
ama846(プロフ) - コメント失礼します。もしよろしければ番外編のパスワードを教えて頂けませんか？ (2021年12月19日 21時) (レス) id: bfb29f0477 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：遥
| 作成日時：2018年9月28日 16時
