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・太宰視点
食べ終わって満腹の中、片付けを手伝おうとしたけれど、座ってろと念を押されて中也と一緒に食後の休憩中。
頭に何も入らない内容のテレビ番組を見ながらぼんやりとする。ふと、机の隅に置かれている乱雑に置かれた教科書と幾つかのノートが目に入った。
何となくそのノートを手に取る。ペラペラと捲れば、几帳面に授業の内容をまとめられていた。
分かりやすい様に赤ペンで線を引いたり、図を書いてあったり。
……看護学校と言うだけあって、其の内容は人体について詳しく学ぶものだ。専門的な学校は、専門教科の教科書は分厚い物だが、その他の教科の教科書なんて薄っぺらい。
ノートからひらりと一枚の紙が落ちる。
其れを見たら、如何やら成績表らしい。この間テストでもあったのだろう。恐らくはその結果だ。
彼の成績は首席。一つだけどうやら苦手な分類のものなのか其れだけは3位ではあるものの、その他は1位なので総合的には主席の様だ。
この成績と、彼の人柄を考えるなら、若し実習等が既にあるのなら、彼は将来を期待されているのだろう。
優秀なのは善い事だ。後々に繋がる事だから。
「…………」
何となく、あの人が欲しがりそうな子だなと思った。
物騒な事を考えているとは思っている。
だが、元々のあの人が元は何を生業にして今に至ったのかと考えると、色々含めて、彼の様な人間は欲しがられそうだと思った。
絶対にそんな事はさせないし、させる気もないけれど。
ハンガーに干されている白衣が目に留まる。…厭でも、思い出してしまうのだ。
「ンだよ太宰。ノート見てからそんなツラしやがって」
「……どんな顔してるの?」
「今にも誰か殺し兼ねない顔だよ」
拙い拙い。
此処は渡瀬君の家なのだ。彼の家でこんな事を考えるだなんて、私らしくもない。
顔を軽く引っ張って元に戻す。この平和な民家で、彼の前で、マフィアの顔なんか出してはいけない。
「ねえ中也」
「ンだよ」
「暖かいでしょう、彼」
其れ以上の言葉は要らない。
ノートを閉じて元の場所に戻してそう問えば、ぶっきら棒に中也は「……そうだな」と云った。
「手前が胃袋掴まれるのも分かる」
「ちょっと辞めてよね、今度から君も来るなんて事になるの」
「諦めろ、食っちまったんだから仕方ねェだろ」
あー、もう!だからバレたく無かったのだよ。
ぎゃあぎゃあと喧嘩すれば「近所迷惑だからやめろ!」と片付け終えたらしい渡瀬君に中也諸共説教を食らった。解せぬ。
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零 - 未だに太宰のSSRが来ない😭(やり始めて1年半です) (3月4日 6時) (レス) @page38 id: 384173ed73 (このIDを非表示/違反報告)
安息香酸 - コメント失礼します。もし良かったら番外編のパスワード教えて頂きたいです! (9月8日 14時) (レス) id: 7f39e79d81 (このIDを非表示/違反報告)
おしとう(プロフ) - ミナさん» コメント失礼致します。もし可能でしたら番外編のパスワード教えていただきたいです!! (2023年3月4日 21時) (レス) id: b3cffe0f1c (このIDを非表示/違反報告)
ミナ - 番外編のパスワードを教えてもらいたいです! (2022年3月12日 18時) (レス) id: edad4e8a78 (このIDを非表示/違反報告)
ama846(プロフ) - コメント失礼します。もしよろしければ番外編のパスワードを教えて頂けませんか? (2021年12月19日 21時) (レス) id: bfb29f0477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2018年9月28日 16時