【トレイ】一緒に薔薇を塗ってケーキを作ろう【ツイステ】 (ページ9)

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そして俺の手を握ると「ありがとう」と俯いた。

　やっぱり寂しかったようだ。

「でも条件がある。」

「条件？」

「俺の家にいる間店を手伝うこと。ケーキ屋は冬場が1番忙しいからな。」

「ケーキ屋の手伝い…する！」

　嬉しそうに笑うAはまたいつも通り俺に抱き着いて来る。

　そんな無邪気な彼を俺は受け止めた。

　俺と話すようになってから料理を勉強し始めたらしいが元々器用なためなかなか凝った料理をする。

　何度かケーキや料理を食べさせてもらった事はあるがこれがなかなか美味い。

　俺の家でもいい働きをしてくれるだろう。

　俺は親にAも一緒に帰ることを伝えておいた。

　そして帰省当日。

荷物を持って鏡の間へ向かった。

「本当にいいの、僕も行って。」

「ああ、俺の家族も楽しみにしてたぞ。どんな子が来るんだろうってな。」

「…なんか言った？」

「んー…可愛い奴だとは言っておいた。」

　彼は俺の言葉に少し頬を赤くすると持っていた鞄で殴って来た。

　少し前ならきっと笑って流していただろうに。

　だいぶ素直になったものだ。

　俺達は闇の鏡を使って俺の故郷、薔薇の王国へ向かった。