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少し左にズレて布団を捲る。
おずおずと俺の隣に来たAの腰を抱き寄せて頬にキスを落とす。
涙で少しだけしょっぱい。
「…もう何も気にせず俺の傍にいろよ。今までお前のワガママに付き合って来たんだ。今更嫌気がさすなんてこと無いよ。」
「トレイ…。」
「おっとまた泣かないでくれよ。お前は笑顔が可愛いからな。」
泣きそうになった彼女の頭を撫で、優しくキスを落とす。
するとAは柔らかく笑う。
それが可愛くて、またぎゅっと抱き締めた。
「と、トレイ…?」
「…もう心配させるなよ。」
「…うん。」
Aはごめんねと言うと俺の頭を撫でた。
撫でられるのは慣れていない。
いつも俺が撫でる側だったから。
たまには、良いものだ。
「さて、そろそろ寝よう。お前も疲れてるだろ?」
「僕は、大丈夫だよ。」
「俺と、寝てくれるよな?」
「…トレイも案外ワガママだよね。」
「ははっ、お前にだけさ。」
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作者名:柳雪 | 作成日時:2020年6月7日 11時