檸檬のカオリ、私のヒカリ１

３０話 ページ31

健一「息子の事でご迷惑をお掛けしました」

そう言いながら健一と響子も頭を下げる

三澄「いえ」

健一「息子が無理を押して帰国したのは
会社を休んではいけないという気持ちが
あったからだと思います。子供の頃から私は
風邪ぐらいで学校を休むなと
我慢強い男になれとそう言い聞かせて育てました」

葬儀には馬場路子の姿もあった

響子「間違ってたのかな？
あの子、頑張り屋さんだから
頑張り過ぎちゃったのかな…
本当にすみませんでした」

遺影を観ながら二人は話す

路子「ご住職様がいらっしゃいました」

それを聞き立ち去る両親の背中を見送る

真嶋・三澄「「この度は…」」

路子「渡さんは無実です証拠があります
郵便ポストのDMに紛れてたんです」

カバンから東央医科大学病院から
届いた健康診断の健診結果書を渡した

路子「彼は帰国した三日後に健康診断を
受けています。結果はすべて良好で異常なし」

真嶋「検診でコロナウイルスの検査は
しません見つからなくて当然です」

言い難くそうに真嶋は伝えた

馬場「彼は常識的な人でした
風邪の自覚症状があれば
絶対に空港で申告したはずです」

三澄「自覚症状がいつからあったのか
証明するのは難しいと思います。ごめんなさい
今よりもっと辛い事になるかも知れません」

涙を流す馬場に
伝えなければならないと二人は言葉を続ける

真嶋「検診を受けた大学病院には
免疫力の落ちた患者さんが大勢います
感染は 彼らの命にかかわります」

三澄「高野島さんがどれだけの人数と接触し
感染を拡大したのか調べないといけません」

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