檸檬のカオリ、私のヒカリ１

１０話 ページ11

ついに解剖が始まった

解剖台を囲むのは真嶋・三澄・東海林の三人だ
久部は解剖室内のホワイトボードの前に立っている

三澄「胸腔内に出血なし」

久部「はい」

真嶋「大動脈解離ではないね」

久部「はい」

三澄「心囊内に出血なし」

東海林「心囊液10ml」

久部は言われた通りの数値を
素早くホワイトボードに書き起こしている

三澄「心肥大はなし

真嶋「冠状動脈に硬化なし」

三澄「違うね〜虚血性心疾患ではないね」

久部「死因が違うってことですか？」

東海林「うん、そうだね」

真嶋「腎臓は全体の鬱血が強いね」

東海林「腎臓左110g…右100gです」

久部「はい」

三澄「ああ、脾臓と副腎溶けてる」

真嶋・東海林「「10日も経つとね」」

三澄「腐る前に持ってきて欲しいよね」

真嶋「腎皮質が蒼白、髄質が鬱血」

三澄「急性腎不全の疑いあり」

東海林「毒物？」

真嶋「有り得るね」

三澄「久部君これ写真撮っといて」

吐き気を催し咳込みながら
解剖室から勢いよく出て行く久部

その背中に坂本が
追い討ちを掛けるように言葉を投げた

坂本「青いな」

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