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残業のあとは *標準 ページ22

俺が最近気になっている会社の後輩のAちゃんは、おとなしくて天然でお人好しだ。時々心配になるくらいに。
今日だって僕の同期の女子に仕事を押し付けられていた。

定時もとっくに過ぎ、その同期も後輩たちも帰ってしまった頃、残業していた俺の近くのデスクではAちゃんが静かに仕事をしていた。

標「Aちゃん、それ半分ちょうだい」

なんで?とでも言わんばかりの顔で俺を見つめてくるAちゃんを見て、ついため息を漏らしてしまう。

標「それ、押し付けられたやつでしょ?ほんとどんだけお人好しなの。ちゃんと断らないとこれからも続くよ?」

確かにAちゃんは仕事が出来る。多分あの同期よりも。だからといって仕事を押し付けていい理由にはならないし、彼女がAちゃんを快く思っていないことは薄々気づいていた。

標「俺も手伝うからさっさと終わらせよ?そんで飯でも行こうよ、一緒に。」

俺はそう言うと半分、と言いながら半分以上の書類を自分のデスクに移動させた。「Aちゃんはあまり飲み会に参加してないから、一緒にご飯行きたいなって思ってたんだよ?」と言葉を付け加える。

「で、でも…」
標「いいから。」

戸惑うAちゃんに俺はパソコンから目を離さずに言った。

Aちゃんは何か言いたげだったが、それ以降はどちらも無言でパソコンに向かっていた。

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「「おわった…!」」

俺が言うのとほぼ同時に聞こえた声。無事仕事を終えられたようだ。

「あの、先輩、手伝っていただいてありがとうございました」
標「いいの、その代わりさっき言ってた通り夕飯付き合ってね。奢るからさ」
「そ、そんなの申し訳ないです、むしろ私に奢らせてください…」

慌てるAちゃんは珍しいな、とつい頬がゆるむ。

標「んー、じゃあ今度奢ってもらう。だから今日は俺に奢らせて」

よし、次回の約束も取り付けたぞ。と心の中でガッツポーズをしながら俺は立ち上がり、行きつけの居酒屋にAちゃんを連れて行った。

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作者名:shirö | 作成日時:2018年7月9日 23時

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