【銀魂】なみだドロップ

7 . 出会い ページ10

＊ 神威side



路地裏の暗い所。

久し振りに下り立ったこの場所に、

ふと、一人雨の中傘をささずにたたずむ少女を見た。



気になったので遠くから見てみるも、全く動く様子がない。

ずっと固まっている。




不思議に思い近付く。

近付くにつれ少しずつ、春雨として活動し、何度となく見た光景を目のあたりにする。



何人かの人が倒れ、その上に降っている雨の雫が赤く、紅く塗り替えられていっていた。



少し状況を把握した俺はひとまず傘を差し出し声をかける。

分かった事、少女はAと言うらしい。

Aは話しても話してもこちらを見る事はなく、俺はただ背中にむけて話し掛けていた。



「ねぇ、君はここで何してるの？」


しかしその問は答えられることはなく少しの間無言が続いた。

その沈黙のうちにもしかして、と思い発した言葉。

すると先ほどまで無言だったAはいきなり後ろを向き、目をこちらへと向ける。



黒く、深く、そして虚ろで光のない瞳。



その目に俺はどこか懐かしさを覚えた。

恐怖、怒り、絶望……

ありとあらゆる感情を詰め込んだ目。

獣に飢え、何かを求めるような目。



______強くなる。



直感的に感じた。

きっと、Aは強くなれる、と。




思い立ったが吉日。

俺はとりあえず誤解をとき、仲間を奪われ虚ろな目をした一人の少女、Aに背を向けゆっくりと、はっきりと言った。



「A、強くなる気はある？」

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