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『…キ、キスマークって…何考えてるのっ!こんなのっ…健に見られたら…』
血相を変えて言葉を詰まらせ、必死に反論する。
しかし隆之介は嘲笑うかのように、私の言葉を遮った。
「キスマークぐらいで騒がないでよ?俺が普段どれだけ我慢してると思ってるの?それに比べたらこんなの、」
言いかけて、突然隆之介が倒れ込んできた。
『隆之介っ!?』
「…うぅ……」
私の問いかけに、苦しそうに反応した。
『ちょっと、大丈夫!?』
彼の背中を擦りながら、何度も声を掛けた。
しかし苦しそうに唸るばかり。
すると突然ソファーから転げ落ち、スクッと立ち上がると、隆之介は、ものすごいスピードでどこかへ直行した。
慌てて私も後を追う。
『ちょっとどうしたの!?大丈夫!?』
彼の行先はトイレだった。
全てを吐いたようで、トイレの前でぐったりしていた。
『吐いたの!?大丈夫?立てる!?』
「…A…?…ごめん…。」
『いいから謝らなくて。肩つかまれる?』
申し訳なさそうに床に張り付く隆之介。
全て吐いて少しスッキリしたのか、自力で私に捕まって、ベッドまで歩いた。
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作者名:すずりょ | 作成日時:2020年5月12日 17時