☆ ページ21
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夜道を歩く。
月明かりが眩しい。しかし星は1つも見えない。
ドラケンが死んだ。
救急車に運び込まれたとき、彼には既に息はなかった。だから、あまりショックは無い。
それよりも、マイキーが心配だ。
ドラケンは腹心だったわけだから、落ち込んでいるに違いない、たぶん……。
……それにしても、ドラケンは最期までよくわからない男だった。
どうして私は、パーちんの親友の彼女の治療費を出さなくてはいけなかったのだろうか。
その彼女の家族はマイキーを侮辱したのに、どうして頭を下げなければならなかったのだろうか。
そもそも、彼はマイキーの腹心なのに、どうして意見を対立させるのか。
わからない。
私と対極の存在に思えるのも少なくなかった。
そんな彼の行動は、
あるときは“思いやり”、
あるときは“男気”、
あるときは“義理”、
あるときは“人情”、
あるときは“心”などと称された。
彼の行動も、言葉も、理解できないまま彼は死んでしまった。全く後味が悪い。
彼のことなど早く忘れてしまいたい。思い出すだけで、胸のあたりがなんだかモヤモヤするから。
なのに、なんで忘れられないのだろう。
『オマエは、オマエの意思を持つべきだ』
脳裏に焼き付いて離れない。
人を忘れるとき、最初に忘れるのは声らしい。にも関わらず、今でも声が鮮明に思い出せる。
「……私の、意思」
私の意思は、マイキーの意思。
マイキーの意思が、私の意思だ。それ以上でもそれ以下でもない。
でも、それでは駄目なのか。
マイキーの意思は私の意思にはなりえないのか。
『オマエはさ、マイキーのこと尊敬してるよな。でもそれだけじゃないだろ。
それだけじゃ、あそこまで出来ねぇよ』
確か、彼はそうも言って笑った。
私はマイキーを尊敬している。それだけだ。
それだけに、決まってる……。
しかし、なかなかどうして、彼の言葉が消えない。
「私は……マイキーを……」
ひとつの考えが頭に浮かんだ。
それは吐き気を催すような、あまりに奇妙な考えだった。
「ッ、……気持ち悪」
どうしよう。
どうしよう。
そんなの嫌だ。
そんなの邪魔でしかない。
消さなきゃ。
消さなきゃ。
視界の端に、走ってくるトラックが見えた。
気づけば、一歩踏み出していた。
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わがはい(プロフ) - りなさん» そう言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます。励みになります！ ご指摘ありがとうございます。名前の変換修正いたしました。 (2022年4月20日 15時) (
レス) id: fe7c1fcf9f (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - すごく面白いです✨更新これからも楽しみにしてます💕あと名前の変換ができてないです…😢 (2022年4月20日 9時) (レス) @page2 id: 047ec70aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わがはい | 作成日時：2022年4月19日 19時
