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『好きです』




そう言えば彼は優しく微笑んで、そっと頭を撫でてくれた。


その仕草を肯定だと、俺も好きだという意味なのだろうと思ってしまったのが間違いだったのだろうか。

私の言葉を受け流していただけだと思えばよかったのだろうか。



















彼からは一度も、好きだなんて言われたことなかったのに。



















中王区が出来て数ヶ月。世の中の行政が爆発的な変化をもたらした。


領地は「中王区」と「それ以外」に分けられるようになった。



中王区は女性のみで構成されている都市だが、女性だからといって必ずしも中王区に居れる訳ではない。中王区に能力と才能を認められ、行政監察局に招待されたごく一部の女性しか中王区に居座ることを許されない。





私には縁のない話だと思った。特にずば抜けた才能もなく、ただ平凡に過ごしてきた私が中王区に居れる日は来ないだろうと分かっていた。けれどそれで構わなかった。





私は華やかな女性に囲まれ、裕福な暮らしをしたいとは思わない。それに何より、今までの生活を捨てたくない。



















「…はよ、A」






二人で酒を飲んでいて潰れたまま眠りについていたらしい。

乱雑にテーブルに置かれたビール缶にはまだ少しだけビールが残っている。すっかりぬるくなったそれと気分の悪さで、残されたビールを飲み干そうとは思えなかった。




『潰れちゃいましたね』
「…ん」


ソファに仰向けに転がっている左馬刻さんは大人の筈なのに幼く見えた。





私が他と違う事と言えば、ヨコハマのリーダーと関わりがあるということだろう。

酒を口実に、酔いに任せていろんな言葉を吐いてしまったと自覚している。
恋仲ではないものの、何度も告白をしてしまっただろう。






しっかりと断りを入れない彼に、私は期待してしまっていた。





































































『ち、ちがっ…これは違うんです…!』

「何が違うんだよ。はっきりした証拠だろうが」

『違います…!これはただ__』

「良い訳なんて聞かねェよ。ましてやずっと俺を騙してた奴の話なんてよォ」








二度と俺様に関わるな。






その言葉は今も私の心を締め付ける。

















たった一瞬で遠のいてしまった彼との距離に私はただ呆然とした。








遠のく彼を引きとめられなかった私は、本当に弱い人間なんだ。









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千秋(プロフ) - はなさん» ありがとうございます!!!冷酷だけど格好良い中王区大好きです!!更新がんばっていくのでよろしくお願い致します! (2021年2月22日 19時) (レス) id: bd08af8d27 (このIDを非表示/違反報告)
はな - めちゃくちゃおもしろかったです!中王区は冷酷ですが格好良いですよね!!更新楽しみにしています! (2021年1月3日 11時) (レス) id: e6cebfae4a (このIDを非表示/違反報告)
千秋(プロフ) - 遊星さん» おまたせして申し訳ありません。楽しみにして頂いてとても嬉しいです。なるべく早いペースで更新するのでこれからも宜しくお願いします! (2021年1月1日 14時) (レス) id: bd08af8d27 (このIDを非表示/違反報告)
遊星(プロフ) - 更新停止になってますが大丈夫ですか?素敵な話なのに更新停止は勿体無いです。早く続き読みたいです。 (2020年12月16日 22時) (レス) id: cc3dcebb37 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - 千秋さん» コメント失礼します!めちゃくちゃ面白いです!更新頑張ってください!! (2020年9月29日 19時) (レス) id: 8b2990a58f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千秋 | 作者ホームページ:p://  
作成日時:2020年9月14日 20時

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