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101羽 ページ16






「(仕事量多すぎるって、あまりにも……!!)」



押し付けられた雑務をこなしたAはいつもより相当機嫌を悪くして校門まで全速力で駆けていた。

諦めかけた東京遠征。その道が残されていることを田中から聞いた。なんと田中の姉が車で東京まで送り届けてくれると言うのだ。それを聞いた瞬間は心の底から彼を田中先輩と呼びたくなった。呼ばなかったけれど。なんとなく。

校舎を飛び出し、校門の先。見えた車と人影にAの表情は華やいだ。



「おっ、来たねぇ!噂の真っ白な美人マネージャーちゃん!!」



短い金髪と豊満な胸を揺らし、人の良い笑みで笑う彼女こそ田中の姉、田中冴子だった。慌てて走ってきたため息も絶え絶えに、Aは頭を下げる。



「あの、本当にありがとうございますっ!」
「いいのいいの!!それにしても、アンタも散々だねぇ。赤点とったわけじゃないんでしょ〜?」
「はい、まあ……。」



苦笑いを浮かべつつ、乗りな、と開かれた後部座席へと乗り込む。丁度その時、先ほどの自分と同じように猛ダッシュで校舎から向かってくる2人の人影を見つけた。そのあまりの必死にさに笑ってしまう。勿論、その2人は日向と影山だ。日向が遠くからAの存在を視認して大きく手を振る。



「A〜!」
「赤点コンビめ。」



冴子と会話を交わした2人が車に乗り込み、烏野食堂と書かれた車は発進した。……かなりの荒い運転で。



(A、横になりてぇ……。)
(はぁ?……えっ、顔色悪ッ……、)
(膝かせ、膝、)
(うえっ、最悪……酔ってんなら仕方ないけどさあ……。)







こうして荒々しい運転だったものの、そのおかげでなんとか時間通りに音駒高校にたどり着くことができた。慌てて体育館の入り口まで走り、冴子が勢いのままにドアを開けた。



「おー、まだやってんじゃん!!間に合ったなぁ、上出来!」



扉を開けた冴子は体育館を見渡してから、首だけ後ろを振り返ってにやりと笑う。



「主役は遅れて登場ってか?はーら立つわァ。」



どこからともなく、黒尾のそんな皮肉めいた声が聞こえた気がした。館内の選手たちは皆きょとんとした様子で扉を見つめている。


影山は右の扉を、Aは左の扉を片手で押さえて立ち、2人の半歩ほど前に日向が立つ。

――息を切らして肩を揺らす、黒いジャージを身にまとった3人が夕日の逆行を浴びて立っていた。




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(プロフ) - 130羽の三大が三台になってます。たぶん三大だと思います。 (2017年7月18日 21時) (レス) id: b9f12d00ff (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - ページ29の"低空飛行"が"低空引こう"になってますよ! (2016年12月26日 17時) (レス) id: 476a1e2e74 (このIDを非表示/違反報告)
花宮幸ヤ(プロフ) - ミッキーさん» 長い間レスできずに申し訳ないです…。そちらの方を長い間更新止めててすいませんでした(;-;)これからコツコツがんばりますので、これからも見ていただけたら幸いです(´×ω×`) (2016年8月3日 13時) (レス) id: 16a4b4f29a (このIDを非表示/違反報告)
ミッキー - テニスの王子様の更新をしてください!楽しみにしてます。 (2016年7月24日 19時) (レス) id: f565134c71 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - 汐李さん» ノンノンノン!← 赤葦、木兎さん、リエーフ、夜久さんが好きなのでそれぞれ字を取りました(*´ω`) (2016年3月22日 23時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤兎リエ輔 x他2人 | 作者ホームページ:http://nekomoti  
作成日時:2016年2月27日 3時

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