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97羽 ページ12





ステージ下にあるパイプ椅子をしまってある収納スペースを引いて、椅子を取り出す。

2個を谷地が持っていっている間に自分も運ぼうとすると、急にAに影が落ちた。



「おい白石…………手、手伝う、か?」
「えっ」



そこには影山が居た。Aから斜め左に視線をそらし、言いづらそうというかやり辛そうというか。そんな様子だ。

影山から話しかけてくることすら珍しいことであるというのに、更には手伝ってくれるという。衝撃過ぎて思わず3秒ほど固まったAだったが、はっと我にかえってにやにやと笑った。



「……あれえ、白石呼びが定着してる気がするなぁ。」
「なっ!!」
「ちょっと前にAでいんだろ!って言ってなかったけなあ〜。」



にたりと目を細めて煽るように言うA。手伝うかと声をかけることで精一杯だったはずの影山は煽られていろいろな感情が吹き出してきたようで、やがてムキになったように「わーったよ!!」と投げやりに言葉を放った。

そんな影山の様子を面白そうに笑ったあと、Aは何かを思いついたように「そうだ。」と声を上げる。



「じゃあ私も飛雄って呼ぼうかな。それと、あと3脚お願い。ありがとね。」



それだけ言い残して、Aはパイプ椅子3脚を持ち上げて影山の横を通り過ぎていった。



「あのやろっ……。」



完全にAにからかわれた影山の顔が少し赤かったことに、気づいたものはおそらく居ない。








そうして用意をしているとき、扉のほうから「お願いしまーすっ!」と野太い声が聞こえた。どうやら扇西の選手たちが到着したらしい。

それを聞いた澤村が「整列!」と声をかけて、皆が走る。



「それじゃあ、私たちも整列するよ。」
「行こう、仁花」
「あ、うん!」



お願いします!と声かけをして、扇西高校との練習試合が始まった。








今日の烏野は好調のようだ。田中、東峰もいつもよりスパイクが派手に決まっているし、日向影山もミスは目立って見られない。澤村はいつものように安定しており、西谷月島はもともと長けている部分を最大限に発揮していた。


Aは、ベンチで記録を取っている最中にチラッと谷地のほうに目をやってみる。谷地はきらきらとした瞳を選手たちに向けていた。昨日日向に向けたまぶしい太陽を見るような視線だ。

谷地のそんな表情に、Aは隣で柔らかく笑った。




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(プロフ) - 130羽の三大が三台になってます。たぶん三大だと思います。 (2017年7月18日 21時) (レス) id: b9f12d00ff (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - ページ29の"低空飛行"が"低空引こう"になってますよ! (2016年12月26日 17時) (レス) id: 476a1e2e74 (このIDを非表示/違反報告)
花宮幸ヤ(プロフ) - ミッキーさん» 長い間レスできずに申し訳ないです…。そちらの方を長い間更新止めててすいませんでした(;-;)これからコツコツがんばりますので、これからも見ていただけたら幸いです(´×ω×`) (2016年8月3日 13時) (レス) id: 16a4b4f29a (このIDを非表示/違反報告)
ミッキー - テニスの王子様の更新をしてください!楽しみにしてます。 (2016年7月24日 19時) (レス) id: f565134c71 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - 汐李さん» ノンノンノン!← 赤葦、木兎さん、リエーフ、夜久さんが好きなのでそれぞれ字を取りました(*´ω`) (2016年3月22日 23時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤兎リエ輔 x他2人 | 作者ホームページ:http://nekomoti  
作成日時:2016年2月27日 3時

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