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121羽 ページ36





休憩後の試合も負け通しで、烏野は何本も坂道ダッシュを行った。



そして訪れた生川との試合。烏野の空気は少しピリピリしていた。とはいっても別に喧嘩やケガがあったわけではない。ただ……選手達が"勝ちに飢えている"という感じだ。悪い空気じゃない。

そんな試合の中で、Aはじっと月島を見ていた。ブロックも、スパイクも、レシーブも、取り立ててダメということはない。悪いプレーじゃない、けれど良いと言えるプレーもまた見られないのだ。そして何より、月島自身がそれを目指していないように見える。

烏養もそんな月島の様子を理解しているようで、彼を見つめるその表情は険しかった。



「(……このままじゃ、月島はスタメンを外れちゃうかもね。)」



どうしたものかと、試合から目をそらし考え込む。そんなAは、コートから異様な空気を感じ取って慌てて顔を上げた。思わず身震いしてしまうような凄まじい威圧感だ。

コート上に上がった乱れたトス。それを捉えて、飛びついたのは東峰。この圧倒的なオーラは彼から発せられていた。



「(……俺のボールだって……俺の獲物だって言ってるみたいだった。俺によこされたトスだ、誰も取るなっていう空気。だからといって自分勝手と言うわけではない。誰もが任せられると判断してしまうほどの安心感があった。……やっぱり、旭さんは烏野のエースだ。)」



着実に成長しつつある選手達を目に、Aは期待を胸に小さく笑った。







今日も烏野は全敗した。今一歩、というところではあるのだけれど、なかなかその一歩を引き寄せられない。

悪くはないんだけどな〜、と頭の中で色々な思考をめぐらせつつマネージャー業をこなす中、不意に背後に強い負のオーラを感じて慌てて振り返った。そしてその視界の先に居た人物にほっと息をつく。一体何がいるのかと思ったけれど……。



「ぼ……木兎、さん……?」
「……眼鏡くんに、練習断られた……。」



しわのよった顔、下がった眉、丸まった背筋。全てが悲しみを表現しているし、何故か髪まで垂れ下がっている。分かりやすいなあ……なんて思いつつ彼に向き直った。



「……まあ、休むのも大切な練習のひとつですから。」
「!!……そうなのか?」
「え……あ、はい、……時と場合によりますけど。」



思った以上に純粋な反応をされて思わずたじろぐ。この人と喋るとき言葉えらばなきゃな〜……と思うと同時に、赤葦への尊敬が増した。




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(プロフ) - 130羽の三大が三台になってます。たぶん三大だと思います。 (2017年7月18日 21時) (レス) id: b9f12d00ff (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - ページ29の"低空飛行"が"低空引こう"になってますよ! (2016年12月26日 17時) (レス) id: 476a1e2e74 (このIDを非表示/違反報告)
花宮幸ヤ(プロフ) - ミッキーさん» 長い間レスできずに申し訳ないです…。そちらの方を長い間更新止めててすいませんでした(;-;)これからコツコツがんばりますので、これからも見ていただけたら幸いです(´×ω×`) (2016年8月3日 13時) (レス) id: 16a4b4f29a (このIDを非表示/違反報告)
ミッキー - テニスの王子様の更新をしてください!楽しみにしてます。 (2016年7月24日 19時) (レス) id: f565134c71 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - 汐李さん» ノンノンノン!← 赤葦、木兎さん、リエーフ、夜久さんが好きなのでそれぞれ字を取りました(*´ω`) (2016年3月22日 23時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤兎リエ輔 x他2人 | 作者ホームページ:http://nekomoti  
作成日時:2016年2月27日 3時

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