120羽 ページ35
・
・
「A!スイカくれ!!」
「はいはい、無くならないから焦らないで、」
日向やリエーフを筆頭に元気のいい選手たちが一斉にスイカを取りに来る。疲れた体に水分と甘みが染みるのか、皆顔を緩めて夢中でスイカを頬張っていた。そんな姿を微笑ましく思いつつ、まだスイカが乗った皿を持ってAはあたりを移動する。
「スイカ欲しい方いますか〜?」
Aが声を出すと、木兎が高々と手を上げて「はい!はいはーい!」と主張する。すでに両手にスイカを持っていながら、その片方を慌てて食べて新しいものを要求する姿はあまりにも少年。本当に高3か?と、喉まで出た言葉を噛み殺した。
「喉詰まらせますよ。」と新しいスイカを差し出せばそれを受け取り、木兎は眩しい笑顔をこちらに向けた。
「サンキュー!
その笑顔にちょっとだけ、本当にちょっとだけ可愛いなと思ってしまったことは墓までもっていこうとAは心内で呟いた。
・
「Aちゃんありがとう、食べてきていいよ。」
「あ、すみません。」
暫くスイカを配って回っていたAだったけれど、食べ終わった清水とその役割を交代する。スイカを一切れ貰って、芝生の坂道に腰をおろした。和気あいあいとにぎわうあたりの様子を見渡しながら、こういう娯楽もいいなとぼんやり思う。
「マネージャーも大変だね。」
そう言って、Aの隣に座ったのは赤葦だった。「あ、どうも。」というAの言葉に小さな笑みが返される。
「木兎さんの相手はいいんですか?」
「それが嫌になって避難してきたところ。」
あぁ……、と納得した声で呟く。視界の先で元気いっぱいにはしゃいでいるあの姿を見ればその気持ちは痛いほどわかった。……苦労してるんだろうなあ、この人も。そんな同情と尊敬を含んだ声色で「お疲れ様です。」と告げてスイカを一口食べた。
「白石さんも大変でしょ。烏野、個性強そうだし。」
「んん、まあ……そうですね。木兎さんに敵うか分かりませんけど。」
「まあうちは木兎さんだけだし。」
何となく波長があうようで、2人の会話は弾む。落ち着くなあ、なんて互いに思っていた2人だったけれど、この数分後木兎に見つかってその空間が消え去ることをまだ知らない。
・
・
516人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
希(プロフ) - 130羽の三大が三台になってます。たぶん三大だと思います。 (2017年7月18日 21時) (レス) id: b9f12d00ff (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - ページ29の"低空飛行"が"低空引こう"になってますよ! (2016年12月26日 17時) (レス) id: 476a1e2e74 (このIDを非表示/違反報告)
花宮幸ヤ(プロフ) - ミッキーさん» 長い間レスできずに申し訳ないです…。そちらの方を長い間更新止めててすいませんでした(;-;)これからコツコツがんばりますので、これからも見ていただけたら幸いです(´×ω×`) (2016年8月3日 13時) (レス) id: 16a4b4f29a (このIDを非表示/違反報告)
ミッキー - テニスの王子様の更新をしてください!楽しみにしてます。 (2016年7月24日 19時) (レス) id: f565134c71 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - 汐李さん» ノンノンノン!← 赤葦、木兎さん、リエーフ、夜久さんが好きなのでそれぞれ字を取りました(*´ω`) (2016年3月22日 23時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:赤兎リエ輔 x他2人 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2016年2月27日 3時