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「…ねえ、ちばちゃん」
俺の名前ではない名前を呼ばれ、ふと我に帰った。
ロングヘアーの女が俺の上に跨っている。お互い衣服がはだけていた。カーテンの外が明るくなっていることにも気がつく。
…昨晩のことが思い出せない。あれ、なんでここにいるんだっけ。
部屋中に、甘い香りが充満していた。
「寝てたの?」
「ううん、ぼーっとしてた」
乾いた笑いでなんとか誤魔化す。ふーん?と少し不機嫌そうな表情を浮かべられ、何故か焦りを感じた。
「じゃあ今度、俺が動くから…」
そう言って、自らの腰を女に押し当てた。女の口から甘い声が溢れる。髪を耳にかける動作がいちいち色っぽかった。
「ちばちゃんっ、きすして…?」
「ん」
適当に返事をして口づけをする。女が俺の首に手を回したとき、身体が火照っていたことに気がついた。なんとなく周りを見渡してみると、俺がよく利用しているホテルで。
今更だけどこの人、名前なんだっけ。どこで知り合ったかも思い出せない。クラブでナンパしたのだろうか。どうやって口説いたんだっけ。
そんな背徳感が、腰を押し当てるスピードを徐々に早くさせる。
「ちばちゃん…っ、私のこと、好き…っ?」
今にも泣き出しそうな表情で俺に問いかけた。涙が出るほど良いのだろうか。
「…うん、好き。すっごい好き」
顔を見られないように、これ以上なにも聞かれないように。俺はまた口づけをした。
行為が終わって1時間後、女は荷物を持ってそそくさと部屋を出て行ってしまった。ホテル代ぐらい置いてけよ、と思ったが既に遅かったようだった。
時刻は6時48分。いつもならもう少しで学校に行く時間だ。そういえば、放課後にスタジオ練を入れていた気がする。
「…バイトだる」
独り言が部屋に響いた。
俺の生活は、いつからこうなってしまったのだろう。
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ma(プロフ) - みやさん» コメントありがとうございます!千葉ちゃんメイン少ないですよね(笑)そう言っていただけて嬉しいです、頑張ります(^.^) (2019年12月12日 20時) (レス) id: fc77e0e2fe (このIDを非表示/違反報告)
ma(プロフ) - リカさん» ありがとうございます、、!これからも応援してあげてください(笑)更新頑張ります^^ (2019年12月12日 20時) (レス) id: fc77e0e2fe (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 中々千葉ちゃんのお話を見かけず、やっと出会ったこの作品!更新待ってます(*´`) (2019年12月12日 0時) (レス) id: 911787e19f (このIDを非表示/違反報告)
リカ - 更新楽しみにしてます!毎回、千葉ちゃん!!って応援したくなるくらい引き込まれます(笑)続きが気になります! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 4a7cb51f4d (このIDを非表示/違反報告)
ma(プロフ) - なぁさん» ありがとうございます…!そう言って頂けると本当に嬉しいです。気怠い感じを表現できているのなら嬉しいです^^(笑)気まぐれ更新ですが、今後もよろしくお願い致します。 (2019年12月8日 13時) (レス) id: fc77e0e2fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ma | 作成日時:2019年11月21日 22時