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「トビオちゃんたら変わっちゃってさ、
本当なんなのさって感じ」
笑いながらいう及川さんに、
私は手を伸ばして抱きしめる。
『…無理して笑わなくていいです。
最後まで戦い続けた及川さんはすごくかっこよかった
…3年間、本当にお疲れさまでした』
無理して笑う及川さんは
手を離せば何処かに行っちゃいそうな気がして
頭を撫でるとすぐに及川さんの泣いてる声が聞こえ
泣くつもりなかったのにって悔しいそうに言う
及川さんをただただ抱きしめた。
翌日から部活を引退した及川さんは朝練もなくなって
私たちは朝一緒に登校することはなくなったけど
及川さんはその分帰りによく迎えに来てくれる。
『え?!及川さんピアスあけたんですか?』
引退して数ヶ月が経ち、放課後に会えば
及川さんの左耳だけにピアスが開いていて
とっても嬉しそう。
「そう!まっつんに開けてもらった!
これなにかわかる?」
『ピアスじゃないんですか…?』
及川さんが指差すのは、
宝石のようにキラキラとしたピアスで
「これね、Aの誕生石」
『…あ!本当だ!
でもどうして片方だけ?』
見た時から不思議に思ってることを聞けば、
秘密〜♪なんて言って先に歩いていく。
どうしてか気になるけど、それ以上に自分の誕生石を選んでくれたことが嬉しくて
私も笑顔で及川さんの後を追った。
「てかさ、卒業旅行行かない?」
季節はもう冬で及川さんはあと1ヶ月で
卒業式を迎える。
『…行きたいです!』
もちろん私の返事は決まっていて、
私たちはそのままの足取りへ本屋さんへと向かった。
「Aはどっか行きたいとこある?」
『うーん、有名どころでいえば東京とか大阪ですよね
おいしいもの食べられるとこがいいかな〜』
それから目についた本は北海道で、
及川さんも横から覗き込んでくる。
「いいじゃん、北海道にしよ!」
場所は北海道に決め、
旅行に行く日は及川さんの卒業式間近になった。
『今からもう楽しみです〜!』
「いい思い出作ろうね」
その日からずっと私たちは、本を見ながら
自分たちの計画を立てる。
それだけでもすごく楽しくて
行ったらもっともっと楽しんだろうななんて
考えながら及川さんも見つめる。
「ん?」
『幸せだなあって感じてました』
「…本当、幸せだね」
どうして彼は悲しそうな表情で言うんだろう。
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さ。 - めっちゃ面白かったです!! (2020年6月13日 1時) (レス) id: 8674ff81bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mai | 作成日時:2020年5月20日 20時