検索窓
今日:3 hit、昨日:16 hit、合計:254,080 hit

40 ページ40

 




「トビオちゃんたら変わっちゃってさ、

本当なんなのさって感じ」


笑いながらいう及川さんに、

私は手を伸ばして抱きしめる。


『…無理して笑わなくていいです。

最後まで戦い続けた及川さんはすごくかっこよかった
…3年間、本当にお疲れさまでした』



無理して笑う及川さんは

手を離せば何処かに行っちゃいそうな気がして


頭を撫でるとすぐに及川さんの泣いてる声が聞こえ

泣くつもりなかったのにって悔しいそうに言う
及川さんをただただ抱きしめた。


翌日から部活を引退した及川さんは朝練もなくなって

私たちは朝一緒に登校することはなくなったけど

及川さんはその分帰りによく迎えに来てくれる。




『え?!及川さんピアスあけたんですか?』


引退して数ヶ月が経ち、放課後に会えば
及川さんの左耳だけにピアスが開いていて

とっても嬉しそう。


「そう!まっつんに開けてもらった!
これなにかわかる?」


『ピアスじゃないんですか…?』


及川さんが指差すのは、
宝石のようにキラキラとしたピアスで


「これね、Aの誕生石」


『…あ!本当だ!
でもどうして片方だけ?』


見た時から不思議に思ってることを聞けば、
秘密〜♪なんて言って先に歩いていく。


どうしてか気になるけど、それ以上に自分の誕生石を選んでくれたことが嬉しくて
私も笑顔で及川さんの後を追った。



「てかさ、卒業旅行行かない?」


季節はもう冬で及川さんはあと1ヶ月で
卒業式を迎える。

『…行きたいです!』

もちろん私の返事は決まっていて、

私たちはそのままの足取りへ本屋さんへと向かった。



「Aはどっか行きたいとこある?」


『うーん、有名どころでいえば東京とか大阪ですよね

おいしいもの食べられるとこがいいかな〜』


それから目についた本は北海道で、

及川さんも横から覗き込んでくる。


「いいじゃん、北海道にしよ!」



場所は北海道に決め、
旅行に行く日は及川さんの卒業式間近になった。



『今からもう楽しみです〜!』


「いい思い出作ろうね」


その日からずっと私たちは、本を見ながら

自分たちの計画を立てる。

それだけでもすごく楽しくて

行ったらもっともっと楽しんだろうななんて
考えながら及川さんも見つめる。


「ん?」


『幸せだなあって感じてました』


「…本当、幸せだね」


どうして彼は悲しそうな表情で言うんだろう。




41→←39



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (175 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
600人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 及川徹
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

さ。 - めっちゃ面白かったです!! (2020年6月13日 1時) (レス) id: 8674ff81bd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:mai | 作成日時:2020年5月20日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。