初めての一目惚れ【及川徹】 (ページ25)

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それから帰り道も呆然としながら家に帰って、

『どういう意味だったんだろう』

もしかしたらあの場を早く収めるために言ったとか？

そんなことを考えていると急に鳴る携帯に、

私はハッとして電話に出る。

『もしもし』

「あ、Aちゃん？

今家の前にいてるんだけど出てこれる？」

それから私は急いで、

外へと出るとそこには試合帰りの及川さんがいた。

「ごめんね、急に来ちゃって」

『すみません、試合で疲れてるのに…』

話しながら私たちは近くを散歩する。

「今日は来てくれてありがとう」

『及川さんすごくカッコ良かったです』

そう伝えれば及川さんはふわっと笑って、

勝てなくてごめんねって言う。

『…どうして謝るんですか？

勝てなくても及川さんは
すごくすごくかっこいいです』

「さっきもそう言ってくれてたね」

その言葉に私が好きだって
言ったこともバレてるんだと確信した。

『私、天才っていう言葉が大嫌いなんです。

努力しないでやって来たみたいな言い方で、

誰よりも努力して自分の１２０％が出せた時、

周りから天才だとか言われて

結果が出せなきゃ幻滅だとか。

でも及川さんはすごくすごく努力してるのに、

それを否定されたら嫌なんです』

「ありがとう。俺のために言い返してくれて」

『だから努力してる及川さんはすごくかっこいいので

謝らないでください』

「さっきの続き言ってもいい？」

　
『はい』

その瞬間抱きしめられて

「俺は初めて会ったときから

Aちゃんのことが好き。

だから俺と付き合ってくれませんか？」

『嘘じゃなかったんです、か…？』

「え？なんのこと？」

抱きしめられていた腕は離され、
及川さんは私の顔を覗き込む。

『その場を治めるためにかと思ってました』

すると及川さんはケラケラ笑いながら、

「ねえなんでそんなに可愛いの？」

なんて聞いてくる。

『逆に聞きます。

どうしてそこまでかっこいいんですか？』

そういえば及川さんの顔はみるみる赤くなって

見ないでと言われ、

「Aちゃん、俺まだ返事聞けてない」

すぐに真っ直ぐな目でこっちを見てくる
及川さんはずるい。

『私も初めて会ったときから

及川さんのこと好きでした』

そう言って微笑むと、

及川さんも微笑んでくれる。

「これからよろしくね」

その日から私の人生はすごく輝いていたと思う。

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