元彼と結婚しました【五条悟】２ -完結-

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シャワーを浴び終わって

悟さんの元へと行けば

電話をしながらこっちに視線を向けると

　

そのまま近づいてきて

濡れている髪の毛を手に取り


「乾かしておいで」


と耳打ちされた。

　


言われた通りきた道を戻って髪の毛を乾かしていると

悟さんが来てドライヤーを奪い、

髪の毛を乾かしてくれる。



「Aはさ、

見合いする時ぼくだって知らなかったでしょ」

　

『正直、写真見てなかったです。

もう投げやりで誰でもいいかなって、

だけどこの半年間、楽しかったです』

　

「そうだね、

僕も結婚した相手がAで良かった。
　

　

あと少し、よろしくね」



その言葉は、私たちの終わりを示唆する。


正直ちょっとだけ期待していた自分がいた。

　

もしかしたらこのまま離婚せずに

続けられるんじゃないかって、

　

だけどあのシェリーの意味も、

私たちが付き合っていたのも

全て１０年前の話で

　

お互いの立場も、

考えも、

全部がもう変わってしまっている。

　


『…そう言っていただけて良かったです。
　
もうあと少し、よろしくお願いします』


　

　
そう言って鏡越しに目を合わせれば

お互い、悲しそうに笑う。

　

　

ずっとずっと彼に片想いをしてきた。
　

たくさん泣いたし、

それ以上にたくさん素敵な思い出ができて


最後に幸せすぎる思い出をたくさんもらった。

　


『…わたし先にあっち行って寝ときますね』



ベッドに行けば涙が静かに溢れて

悟さんとの思い出が頭の中で再生される。



“ お前なに？腹でも壊してんの “


“ ここで飼えば “


“ 送ってくからささっと歩け “


“ へー、器用だな “


“ お前は頼らなすぎ、もっと頼れよ “


“ 別にAがそう思うなら

その意見を貫き通したらいい。


そこに親の気持ちなんて関係ねーだろ “

　

“ だーかーら！

好きだって言ってんの、意味わかる？ “




最初はどれだけ言葉がきつくても、

その言葉の裏や言動は私を心配してくれていた。



何か相談した時、

わたしの意見を否定することはしないし

絶対に応援してくれた。

　
　


── そんな、彼が大好きだった。

　


“ 仕方ねーから、ずっとそばにいてやるよ “
　


そう言って笑いながら手を繋ぐ、

それだけで幸せだったのに。



なにが私たちを狂わせたんだろう。

　

　
　
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